暗殺を極度に警戒する金正恩氏の「暗殺予防策」とは...
北朝鮮が技術指導したヒズボラの地下施設が、イスラエルの攻撃で破壊されてから1週間も経たないうちに、今度は平壌の上空に無人機の進入を許した。この事態に最も恐れおののいたのは金正恩氏本人だろう。金正恩氏は自身に対する暗殺を極度に警戒している。
朝鮮中央通信が7日に配信した、金正恩氏が金正恩国防総合大学を訪問した際の写真をみてもよくわかる。写真には、金正恩氏が乗るVIP用の全く同じタイプの乗用車が2台写っている。襲撃を警戒し、常に複数台を準備しているのだろう。
金正恩氏のボディガードたちが歓迎の人波をかき分けながら、正恩氏を守っている写真もあった。米韓情報関係筋によれば、金正恩氏は平壌市内にも複数の宿舎を用意し、常に就寝する場所を変えている。金正恩氏が公の場所に登場する際には、常に付近を立ち入り禁止区域に指定する。
ハイテク技術が活用された「現代の戦い」
しかし、1週間のうちに3度も平壌上空に無人機の進入を許したことが事実ならば、金正恩氏の警護態勢も万全なのかどうか怪しくなる。
韓国は10月1日、超大型弾頭を搭載したバンカーバスター「玄武5」を公開した。弾頭重量が約8トンという巨大弾道ミサイルだが、元空将は「破壊力は大きいが、精密攻撃には向いていない」と語る。
その点で、韓国軍が11日に発射訓練を公開した空対地誘導巡航ミサイル「タウラス」の方が、北朝鮮にとっては脅威だろう。タウラスは射程500キロ以上。速度が劣るものの、レーダーを避けて低空を飛行し、標的の精密攻撃が可能だ。
一方の北朝鮮も無人機やAI(人工知能)が導入された「現代の戦い」に突入しつつあるようだ。ウクライナ国営通信ウクルインフォルムは15日、計3000人の北朝鮮兵がロシア軍の複数の部隊に所属していると報じた。
ヒズボラのナスララ師殺害でハイテク技術が活用されたように、身辺を常に気にする金正恩氏が、韓国から飛来した無人機に神経質になるのも当然のことなのだ。