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避難用シェルターを兼ねたピョンヤンの地下鉄

 地下施設・トンネルは首都ベイルートや中央部のベカー高原などに広がり、総延長は数百キロにもなるという。小型車両が通過できる大きさを備えたトンネルや、開閉式の扉によって直接砲撃が可能な地下施設なども含まれている。

 北朝鮮といえば、韓国よりも先に地下鉄を開通させた歴史を持つ。100メートル以上の深度を持ち、駅とトンネルを隔離できる鉄製の遮蔽板を備えている。康仁徳(カンインドク)元韓国統一相は、「北朝鮮の地下鉄は有事の避難用シェルターを兼ねている」と指摘する。

北朝鮮の地下鉄駅構内 ©AFP PHOTO/KCNA VIA KNS

 当然、イスラエル軍の脅威にさらされているヒズボラに提供した地下施設にも、外部からの攻撃に耐えられる高耐性(こうたいせい)が重視された。それが、ナスララ師が殺害されたときに使用していた地下約18メートルの施設だった。

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ナスララ師を殺害したイスラエル軍の「900キロの地下貫通爆弾」の衝撃

 外電などによれば、イスラエル軍は数分間に、約900キロの地中貫通爆弾(バンカーバスター)を約80発使い、ナスララ師らを殺害した。航空自衛隊の元空将はイスラエル軍の攻撃について「ターゲティング(攻撃目標への最適な攻撃手法の選定)とインテリジェンス(諜報能力)の威力を見せつけた攻撃だった」と語る。

 今回の殺害で発揮されたターゲティングとインテリジェンスとはどのようなものか。元空将はそのたとえとして、トム・クルーズが主演を務めた映画「トップガン マーヴェリック」を挙げた。

 映画では、最初の編隊がミサイルで標的に穴を空け、次の編隊が穴にミサイルを撃ちこんで破壊する。元空将はターゲティングについて「昔は目標に命中するかどうかが重要だったが、現代では目標のどこに命中させるかが重要だ」と指摘する。

無人機を視察する金正恩氏 ©朝鮮通信=時事

 YouTubeなどを見ていると、イスラエル軍は建物の支柱を正確に狙い、最小限の攻撃で建物自体を崩壊させている。元空将も「地下施設を狙うなら、空調設備やエレベーターなど、比較的弱い部分を狙うことが重要になる」と語る。

 またインテリジェンス面では、イスラエル軍は9月27日の攻撃で、ナスララ師だけでなく、数多くのヒズボラ幹部を正確に殺害している。別の元陸将は「必ず、ナスララ師がそこにいる、という情報を抑えていたのだろう。ドローンを使って監視していたようだ」と語る。

 固定した目標と異なり、人は常に移動する。現在のウクライナでの戦いは、長時間滞空しながら、敵を発見すると突っ込んでいく自爆ドローンが使われている。