「迷われていたのは『ゴルゴダ』(1989年)というキリストの顔の像。でも、御所にキリストの像というわけにはいかないんじゃないかと私は思ったんですけど、陛下にご相談になったらしいんです。そうしたら陛下は、まったく淡々と『それはかまわないよ』とはおっしゃったらしい。上皇さまはおおらかだと思いましたし、神道の考え方がおおらかなのかなと思いました。このことを通して思ったのは、美智子さまは本当にあらゆることを陛下にご相談なさりながら進めていらっしゃるということでした」
「上皇陛下を最後までお支えしたい」
美智子さまは10月6日に右大腿骨上部を骨折し、8日には東京大学医学部附属病院で手術を受けられた。術後の経過は順調で、お住まいの仙洞御所でリハビリを続けられている。
「最後にお会いしたのは去年の夏か春でした。美智子さまはどうしても上皇陛下を最後までお支えしたいという本当に強いご意思をお持ちです。お健やかに過ごしていただきたいと思います」(末盛氏)
インタビュー動画では、購入されたもう一点の作品、『橋をかける』刊行の秘話、正田家とキリスト教の関係、美智子さまと「愛と犠牲」という考え方についてなど、末盛さんが友人の視点で「美智子さまの90年」を語っている。聞き手は、文藝春秋編集長の鈴木康介。
「文藝春秋 電子版」では、60分にわたる末盛千枝子氏のインタビュー「愛と犠牲は不可分 親友が明かす美智子さまの90年」を配信している。インタビュー記事は11月9日発売の「文藝春秋」12月号に掲載される。