ひやニキ 自分から話しかけるのに抵抗がなくなったことが大きいですね。
僕は昔、コスプレイベントに行っても自分からは話しかけられなかったんですが、今では全然できますし。張りぼてでもいいから自信をもって話しかけると、相手の反応も全然違うじゃないですか。「自分は前よりはきれいになったし、話しかけたらきっと仲良くできるだろう」という自信をもって話しかけられるようになりました。
それは社会人になってからもそうで。自信をもって相手に接することで「この人と一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるようになりました。そのおかげで、今日の取材もそうですが、いろいろなご縁に恵まれました。自分が変わらなかったら、変えてくれるきっかけの人に出会えなかったら、きっとこうはなれなかったと思います。
見た目を良くするのって、別にモテたいからだけじゃなく、自分の人生にいい縁を引っ張ってくるために、いかに自分から手を伸ばしていくか。その作業の一歩目だと思うんですよね。
天狗になって失敗したことも
──不思議なのは、女装コスプレによってSNS上の多くのフォロワーから支持されただけでは、自分に対する自信にはつながらなかったんですよね。どうしてでしょうか。
ひやニキ そこがむしろ負の側面だったんです。元々の自分に自信がないのに、女装だけきれいになってしまった結果、調子に乗っちゃったんです。ふんぞり返っちゃって。自信の持ち方を知らなかったんだと思います。一発成功して道を踏み外す人、みたいな。それで天狗になってしまって、一度Xアカウントを凍結されたこともありました。
──こじれちゃったんですね。自分に自信が持てるようになったことで、ひやニキさんが抱いていたコンプレックスはどう変化しましたか。
ひやニキ 女性コンプレックスで言うと、クラスの女子からいじめられた経験もそうですし、青春らしい青春がなかったという思いはあります。見た目がきれいになったことで、少しは青春っぽいことができるようになったので、一部解消されたのはありますけど。
ただ心のどっかで「またひどいことをされるんじゃないか」という思いは完全には消えはしないので。そこは……、何と言葉にしたらいいのか難しいです。
──変わる前の高校生の自分に声をかけてあげるとしたら、何と言ってあげたいですか。