神木が語った独自の“プロ意識”
昨年は、羽海野チカの人気マンガを実写化した映画『3月のライオン』で主人公の将棋棋士・桐山零に見事になりきり、原作のファンも納得させた。その公開時のインタビューでは、小さいころから母親に「あなたはプロだよ」と言い聞かされてきたことを明かし、《プロとは、人間として人のことを第一に考えられるかどうかだと思います。どれだけ役を作っていようとも、人が演じているわけですから、演じる人の「人間性」が出てしまう。だからこそ、現場にいる時の佇まいだったり、周囲を、見てくれる人を「楽しませたい」という思いだったりは、絶対に大事です》と独自のプロ観を語っている(『AERA』2017年3月13日号)。
現在放送中のauのCMでは、意識の高い高校生“高杉くん”をコミカルに演じ、神木がいままで演じてきた少年役のパロディのようでもある。これも彼の「楽しませたい」というサービス精神の表れだろう。一方で、NHK総合のドラマ『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』では、中学校にスクールロイヤーとして派遣された弁護士を熱っぽく演じている。理想に燃えながらも、現実を前に苦悩する新米弁護士の姿は、大人の俳優へと脱皮しようとしている神木自身の姿ともいえるかもしれない。
宮藤作品でのリクエストは?
これから神木出演でどんな作品を見たいかという質問に対し、《もう欲でギラギラしている男とか》《超恋愛体質の神木君を見てみたいな》といくつか希望をあげたのは、彼の主演映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年)で監督を務めた脚本家の宮藤官九郎だ(『文學界』2016年7月号)。これまでにもさまざまな人物を演じながらもなお、もっと違った役を見たいと思わせる、のびしろのようなものが神木にはまだあるということだろう。
宮藤作品では、来年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にもすでに出演が決まっている。その役どころはビートたけし演じる落語家・古今亭志ん生に弟子入りを志願する不思議な青年。ドラマの進展にも大きくかかわってきそうなこの役を、神木がどう演じるのか、いまから楽しみだ。