10月27日投開票の衆院選。選挙戦も佳境を迎える中、候補者たちは1人でも多くの有権者に訴えるべく活動を続けている。そんな中、異例ともいえる選挙戦を繰り広げているのが、神奈川県から出馬している2人の自民党前職。旧統一教会トップ・韓鶴子氏との面会が発覚して経済再生担当相を辞任した山際大志郎氏(神奈川18区)と、教団の集会で韓氏を「マザームーン」と呼んだことで知られる山本朋広氏(神奈川4区)だ。
地元記者が語る。
「2人とも批判を恐れているのか、街頭演説などの日程を全く公開せず、徹底した“ステルス選挙”を行っています」
とくに顰蹙を買っているのが山本氏だ。
「10月14日に行われた地元の青年会議所主催の公開討論会も欠席。民放テレビ局の密着取材も嫌がっており、ある局には『喋らなくていいなら』という条件でしぶしぶ応じていた。実際、その局の番組では、他の候補はインタビューに応じていたのに、山本氏だけは『カルトにNO!』と繰り返す街頭演説の模様などが流れただけでした。本来、候補者であれば、カメラの前で自分の政策や信条を語り、有権者に訴えかけたいはず。山本氏は、カメラの前で教団との関係について聞かれるのがよほど嫌だったのでは」(同前)
山本氏をめぐっては、比例重複を認めないとする動きもあった。自民党は2回連続で小選挙区で敗れて比例復活した候補は、重複立候補を認めないという原則を掲げている。これに対し、山本氏は2012年以来、4回連続で比例復活しているためだ。だが、
「県連は比例重複の申請をしませんでしたが、党本部が重複立候補を認める判断を下した。これには、山本氏が近い菅義偉副総裁の意向があったと囁かれています。一方、山本氏自身は重複立候補が認められたことに『当然だ!』と胸を張っていました」(同前)
10月18日の朝、「週刊文春」記者が逗子駅前でビラ配りを終えた山本氏に声をかけると、
「今ちょっと街頭演説入りますので。それ聞いて帰ってください」
とつれない返事。
――今回、最初は比例重複の申請をしていなかった。
「それは本部の判断だから党本部に聞いてください」
――菅先生のお力添えもあったと聞いておりますが。
「…………」
一方の山際氏はというと、
「山本氏以上に“ステルス”ですよ。遊説については、岸田文雄前首相ら、有名弁士の応援日程をわずかに公開する程度。街角での演説は回数を絞り、支援企業や、神社や寺院の小さな集会所を重点的に回っているといいます」(前出・地元記者)
露出を増やしたいはずの選挙戦で、ひっそりと選挙活動を行う山本氏と山際氏。しかし「週刊文春」が政治広報システム研究所代表・久保田正志氏とともに行った、公示後の情勢をふまえた「最終予測」では、2人の「明暗」はハッキリと分かれたのだった。
現在配信中の「週刊文春電子版」および発売中の「週刊文春」では、山本氏や山際氏の当落予測も網羅した全289選挙区の当落予測リストを読むことができる。
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