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「しゃべりはガチで似てない」“キムタクものまね芸人”としての葛藤

――百戦錬磨のオーディション審査員がざわつくぐらいだったのに、ぬいぐるみとのコントを主にやっていたということは、あまりご自身は木村さんと似ていることに自覚的ではなかったのでしょうか。

元木 なかったですね。木村さん独特の笑い方だとか、しゃべると全然似てないとかで笑わせてたらいいかなあぐらいのスタンスで。ただ、葛藤はありました。

――葛藤とは、どんな。

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元木 プロデューサーさんからとことん似せるほうでいってほしいと言われたり。ただ、お気づきのようにしゃべりはほんとにガチで似てない。歌も全然歌えない。今キムタクモノマネ芸人はけっこう出てきたんですけど、声が似てる人、歌が似てる人、しゃべったらダメな僕みたいなやつ……みんなそれぞれ芸風がかぶってないから、ちょうどいいバランスになってて。

 だから、僕はこれを貫きたいなと。このスタンスのまま、お茶の間がクスッとなるような。「このキムタクかぶれ、あかんやん」みたいなほうで行けたらなとは思ってます。やっぱり根っこは笑ってもらえるほうで行きたい。

 

木村さんやらなきゃ意味がない

――他のモノマネ芸人さんのように木村さん以外のレパートリーを増やそうとは思わなかったのでしょうか。

元木 ないですね。ほんとに木村さんありきでモノマネをやっているので、もし木村さんのモノマネができないとなったら、モノマネ自体しないと思います。木村さんやらなきゃ意味がないので。

――木村さんやらなきゃ意味ない、かっこいい。

元木 いやいや、ただ純粋に憧れているんです。仮面ライダーに憧れて、同じベルトをしたいっていう子どもの気持ちと一緒です。だから僕は木村さんが好きで、同じものを着たい。

――木村さんの衣装をたくさんお持ちなのはそういう理由なんですね。

元木 ほんと変身ベルトと同じで、自分が強くなった気分になる。木村さんと同じ服をオーダーメイドして、それを着ることで憧れのかっこいい人になりたいんですよ。不思議とその服を着るとスイッチが入る。

 

国民的スターのモノマネに対する批判

――どの年代の人も「キムタク=かっこいい」と記憶している、木村さんは国民的なスターだと思うのですが、モノマネに対して批判を受けることはなかったですか?

元木 あります、あります。最初の頃はやっぱりお叱りというか。ファンの方からしたらびっくりしちゃうわけですよね。「何か変なやつが出てきた」「拓哉はそんなんじゃない!」とか。こちらもそれはわかってはいるんですけど……すいませんって思いながらモノマネしてました。事務所に直接電話がかかってきたり。