「これは明らかに遅れているぞ」と気付かされた“きっかけ”
――集団健診などでも指摘があった?
倉持 首すわり、ハイハイ、ひとり立ちくらいまでは育児サイトで見る発達の進度にぴったり沿っていたんですけど、その後、「これは明らかに遅れているぞ」と気付かされて。
1歳半健診の時だったと思いますが、他のお子さんは親の膝の上に座ってられるのに、湊は一瞬たりともじっとしていられず、私が汗だくになって保健所内を追いかけ回す感じで。保健師さんとの面談でも、他の子は「ワンワンはどーれ?」と聞けば、「アイー」みたいな感じで指さしができたり、積み木やペンを握って丸を描くといったいろんなテストをこなす中、湊は何もできなかったんです。
――保健師さんから何かアドバイスがあったのでしょうか。
倉持 その時の保健師さんからは、「男の子は成長がゆっくりな子も多いからあんまり気にしなくても大丈夫。2歳になっても言葉が出なかったらまた考えましょう」という感じで、軽く終わりました。
結局、2歳になっても状況は変わらなかったのですが、区の発達相談支援センターに行っても「まだ様子見で大丈夫」と言われて。私もはじめての子育てだったし、「プロが言うならそうなのかな」と受け止めていました。
保育園に通い始めてから何度も吐き戻しするようになった
――保育園には通われていたのでしょうか。
倉持 それが診断のきっかけになるんですけど、保育園に通い始めてから一日に5、6回吐き戻しするようになったんです。
といっても、オロロロロッて大量に吐くわけじゃなくて、甘酒みたいな白いものをスプーン一杯くらいケポッと吐く感じで。
――保育園に入ってすぐはいろんな病気にかかりやすいとはいいますが、またそれとも違うような?
倉持 近所の小児科を何軒はしごしても原因がわからず、紹介状を書いてもらって大きい病院で検査もしたんですけど、やっぱり原因不明で。
そうしたら、大きい病院の小児科の先生が、「精神的なものもあるかもしれないので、うちの児童精神科を紹介しますね」と言ってくれて、そこですぐ、自閉スペクトラム症の可能性を指摘されました。