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診察室に入ってすぐに「自閉スペクトラム症の可能性がある」と言われ…

――精神科にかかってすぐ自閉スペクトラム症とわかるもの?

倉持 児童精神科の診察室に入って1、2分後に、「この子は自閉スペクトラム症の可能性があると思います」と言われました。

 定型発達の子が知らない部屋に入ると、警戒して保護者の側にぎゅっとくっつくとか、先生の方をジロッと見たり、人見知りしない子だと先生に挨拶したりするらしいんです。

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 でも、「湊くんは一切、私の方を見ないし、入ったことのない部屋でもまったく気にせず走り回ったり、すぐにおもちゃを見つけて自分の世界に入っている」と。先生いわく、こういった行動が見られると、自閉スペクトラム症の可能性が高い、ということでした。その後、また病院で詳しい検査もして、確定診断がおりました。

 

自閉スペクトラム症と指摘されたときは、涙が出た

――倉持さんは、湊さんに自閉スペクトラム症の可能性も感じていたのでしょうか。

倉持 そのときは2歳半になっていたんですけど、「2歳 言葉が出ない」とかでネット検索すると、「自閉症」と出てきていたので、予想はしていました。でも、いざ専門家の先生から指摘されたときはグサッときてしまって、涙が出ましたね。

 そこで先生に、「湊はこの先どうしたらいいんでしょうか」と聞いたら、「親御さんの考えにもよりますが、『愛の手帳』をとったほうがいいとは思います」と言われて。『愛の手帳』は東京都での名称で、一般的には「療育手帳」と呼ばれ、いろんな公的支援が得られるそうです。その後、児童相談所に行って知能検査を受け、4度(軽度)の手帳を交付されました。

湊くんと倉持由香さん(倉持由香さんのInstagramより)

――療育手帳をもらうことを躊躇してしまう親御さんも少なくないそうですね。

倉持 自分の子どもが障害児だと認めることが難しい親御さんもいると聞きます。

 湊のことを公表してから、「診断されるのが怖くて専門機関に行けません」というご両親からDMがたくさん届きました。今では私も診断を受けて良かったと思っていますが、確かにそのときは大きなショックを受けたし、診断されなければずっとグレーでいられるという気持ちもよくわかるんです。

――「我が子は定型発達児であってほしい」という親心というか。

倉持 そう思うのは仕方ないですよね。定型発達だったら障害児育児に比べて負担も少ないと思いますし、何より、その子自身が今後の人生、ずっと生きづらさを抱えてしまうのかと思うと、本当に苦しいです。

 他者との関わりがうまく持てず、周囲の理解も進まない中、それが原因でいじめられたり、孤立して引きこもってしまうような二次障害が実際に生まれています。