健康診断の結果という“数字の羅列”を、身体を読み解くコンパスに変える――。総合診療医・伊藤大介氏が、健康診断における「血圧」の見方について解説します。

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総合診療医の伊藤大介医師(右)

血圧は「高い」「低い」だけで判断しない

 健康診断の中でも多くの人が「血圧」の数値を気にされていると思います。

 高血圧は動脈硬化や心臓疾患、脳卒中、腎臓病など重篤な病気のリスクを高めることが知られています。

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 しかし血圧についての見解は、実は医師によってバラバラです。「しっかりコントロールすることが様々な病気の予防につながる」と考える医師もいれば、「上(収縮期)の血圧の数値が『年齢+90以内』に収まっていれば問題ない」と考える医師もいる。一体、何を信じればよいかわからない人も多いのではないでしょうか。

(写真はイメージ) ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 ちなみに日本高血圧学会が発表している「高血圧治療ガイドライン」では「診察時の血圧が140/90mmHg未満、家庭での血圧は135/85mmHg未満」であれば正常の範囲内であると定めています。

 ここからは私の見解ですが、患者さんを診察するたびに思うのは、そもそも血圧は「高い」「低い」だけで判断すべきではないということです。

 なぜなら、あなたの血圧は、心臓の状態や動脈硬化の進行度、さらには自律神経、ホルモン、体内の水分バランスなど数多くの要素が複雑に絡みあって、現在の数値として表れているからです。一回の測定だけで判断するのは難しいのです。

 そこで、お薦めしたいのは、以下の「3つの視点」を取り入れて、血圧を考えることです。

  1. 「血圧」と「脈拍」を組み合わせる
  2. 「上の血圧」と「下の血圧」の差を見る
  3. 血圧の変動パターンを見る

 それぞれ詳しく説明していきましょう。