健康診断の結果という“数字の羅列”を、身体を読み解くコンパスに変える――。総合診療医・伊藤大介氏が、健診結果の効果的な見方を、年代別に解説する。
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20代~30代は「異常」が出たら放置するな
ズバリ言います。
20代~30代で健康診断を受けて、「異常」な数値が出た場合は全て「放置すべきでない」内容だと考えるべきです。必ず一度は医療機関に相談してほしい。
その最大の理由は、薬や医療機関での治療でないと治らない(コントロールできない)疾患であることが多いからです。
例えば、こんな例があります。
25歳の男性Aさんが、最近、汗をかく量が多いということで、汗の量を抑える薬を処方してほしいと来院されました。
そしてAさんは「もし参考になるなら」とカバンから健康診断の結果表を取り出しました。健康診断で「異常だ」と言われたにもかかわらず、忙しくて放置していたようなのです。
結果表は以下のようなものでした。(一部のみ記載)
身長 165cm
体重 46kg (BMI16.9)
血圧 139/86 mmHg
脈拍 100回/分
中性脂肪 30 mg/dl
LDLコレステロール 63 mg/dl
HDLコレステロール 76 mg/dl
一言でいうと、非常にやせ型のわりに血圧が高めで脈拍数が多い。一方で中性脂肪やLDLコレステロールが低い状態です。
確かに中性脂肪やLDLコレステロールの数値が低いというのは、一般的に「いいこと」のように思えます。しかし、Aさんの場合は違ったのです。