貧しい農民から天下統一を目指す豊臣兄弟の壮大な道のりを描く、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。同作でついに、彼らの運命を大きく変える歴史的事件「本能寺の変」が描かれた。
本能寺の変は、明智光秀が君主の織田信長を討ったとされる、教科書にも載るほど有名な出来事であるが、未だに謎が多い。ミステリーとロマンにあふれるこの出来事は、これまでにも数多くのドラマで描かれ、本作でもひとつのクライマックスとなった。
顔を血だらけにしながら信長を演じた小栗旬はもちろんだが、もう1人、若手ながら信長に負けず劣らずの存在感を見せていたのが、信長の近くに仕える近習の森乱を演じた市川團子である。
“イケメン俳優”が演じてきた森蘭丸役に抜擢
森乱は、森蘭丸とも呼ばれ、江戸時代の軍記物『絵本太閤記』などで「絶世の美男子」として描かれていたことや、一説では信長と男色の関係もあったともいわれていることから、ドラマや映画ではその時代の“イケメン俳優”が演じることが多い。
近年ではその美男子像がさらに派生し、森蘭丸がその後吸血鬼になったという設定の奥嶋ひろまさによる漫画『ババンババンバンバンパイア』の実写版では、吉沢亮が同役を演じた。
團子も目鼻立ちがくっきりとした、179センチの長身。初登場の第25回「変事の予兆」では信長からの命を受けて林秀貞(諏訪太朗)、佐久間信盛(菅原大吉)、そして小一郎(仲野太賀)の義理の父である安藤守就(田中哲司)と相撲をとり勝っている。ちなみにこの相撲で負けたものは「うぬは追放じゃ」という信長の一言で一族もろとも追放されてしまう。すなわち、信長は森乱が必ず勝つと信じていた。それほどまでに信頼していたのだ。
歌舞伎の自主公演では立役にも女形にも挑戦
團子は本作が大河ドラマ初出演だが、祖父は二代目市川猿翁、父は九代目市川中車(香川照之)で、自身も2012年に新橋演舞場の『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』で五代目市川團子を襲名し、初舞台を踏んでいる。父の中車は東京大学卒としても知られているが、團子も学問には秀でており、青山学院大学を卒業した文“芸”両道の役者である。
2024年からは自身の研鑽の場として「春秋会」という自主公演を開いており、2026年も「第三回 市川團子 新翔 春秋会」として10月16日から18日まで京都芸術劇場の春秋座で開催される予定だ。
今回は、「正札附根元草摺」「鷺娘」「善知鳥」で立役、女形双方に挑戦。一般的に女形は立役よりも小さく見せるため、長身であると衣裳内で膝を折るなどして調整する必要があるが、團子は「20代のうちは続けたい」と意欲を見せており、自主公演の内容についても「女形は歌舞伎の様式美の最たるものだと思っている。(過去2回の春秋会で舞った)『春興鏡獅子』と『藤娘』は立役さんが勤められることもある舞踊。『鷺娘』は女形がやる印象が強い。自身の研鑽の会だからこそ挑みたい」と語っている。(※)

