信長との別れを惜しむ濃密な時間を好演
そんな挑戦が『豊臣兄弟!』でも活かされているように感じられる場面が、第27回「本能寺の変」の中にあった。團子が演じた森乱は、信長とともに炎に包まれた城の中に残る。そして、最期の覚悟を決めた信長に短刀を渡し、「わしの首……決して敵の手に渡すでないぞ」と厳命される。
信長の足元にひざまずく森乱は、涙を堪えたような顔で静かに、だがしっかりと「お任せ、くださりませ」と返事をしたのだった。そこには、多くを言わずとも相手のことを理解している2人の別れを惜しむような濃密な時間が流れており、色香が香って来るような艶やかささえ感じられた。
そして、短刀を渡す時の手の小刻みな震え、信長を見つめる目の揺らぎなど、森乱の置かれている立場と感情をしっかりと落とし込んだ團子の芝居は、彼が長年培ってきた経験を感じさせるものとなっていた。
小栗旬との名場面に隠された“もうひとつの意味”
さらに、この小栗と團子の2人芝居には、ある“深い意味”を感じてしまう。
初舞台からずっと歌舞伎というフィールドで活躍していた團子は、大学の卒業が近づいた2025年11月に芸能事務所へ所属。その所属先として選んだのが、小栗が社長を務める株式会社トライストーン・エンタテイメントなのである。ここには小栗をはじめ、綾野剛、間宮祥太朗、赤楚衛二など第一線で活躍するベテラン勢から中沢元紀、原菜乃華などこれからの活躍が期待される若手まで数多くの実力派俳優が所属している。
小栗と團子、2人の共演が『豊臣兄弟!』で実現したこと自体が運命的だが、さらに劇中、信長が森乱へ命を懸けた頼みを託すシーンには、小栗から若き團子への、役者としての未来への期待が重ねられているようにも見えてくる。
父・中車は、俳優として名を馳せたのちに歌舞伎界へ進出したが、團子は幼い頃から歌舞伎での舞台経験を積み、祖父・市川猿翁も名乗った團子の名を引き継いでいる。伝統と芝居の遺伝子を色濃く受け継いだ團子。すでにその表現力の奥深さには、計り知れない可能性が感じられる。彼がこれから映像の世界でも放つであろう唯一無二の輝きに、期待は高まるばかりだ。
