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──かわいい方なんですね。

成田 そうなんです。とにかくたくさんごはんを食べるし、作品への向き合い方も情熱もピュアでまっすぐで、かわいいと思う瞬間が、めちゃくちゃありました。

 演出にしても、変に気を遣われたり、遠回しに言われたりすることはなく、片山監督の指示は純粋さが伝わってくるというか、まっすぐなので、すっと心に入ってくるんです。だからみんな頑張る。本当に愛される方だと思いました。

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最初に脚本を読んで感じたこと

──今回、成田さんが演じた義男も、ピュアでまっすぐな心の持ち主です。最初に脚本を読んだとき、どのように感じましたか?

©山元茂樹/文藝春秋

成田 義男は心の奥まで優しい人だなと思いました。でも演じる上では“ただの優しい人”にならないよう、観終えて“あいつ、なんか優しかったな”と残る程度を目指したいなと。そのために、無理せず、背伸びもせず、身体の中からちゃんと出てくる言葉をと、当たり前のことを積み重ねていきました。

──幻想的なシーンの穏やかな義男、激しいシーンの情熱的な義男など、さまざまな側面が登場します。役作りが難しかったのではないでしょうか。

成田 基本的には義男が「何をしても不思議ではない人間」として受け止められたらいいなと思いながら演じていました。どんなに突拍子もないことをやり始めても、「義男なら」という理解のうえに何でもできるような感覚というか……。

 後半にいくにつれて徐々に明らかになっていきますが、実は義男自身も「本当の自分」をどこまで理解しているのかはわかっていないんです。

 だから、これは本当の義男なのか、それとも義男がそうありたいと願う妄想なのか。妄想であれば、それが自分の妄想であることに義男は気づいているのか……、みたいなことは、観ている方が少しずつ答え合わせができるよう、ていねいに演じたつもりです。