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──「義男」というキャラクターを現場でつくりあげていかれたのですね。

成田 僕が、というよりもまわりの方たちが、僕が演じるキャラクターをつくってくれているのだと思います。

 たとえば、今作で、森田(剛)さんが演じる伊守が僕に「義男くんはいい顔するなあ」と言うシーンがあります。でもその「いい顔」がどんな顔かは、脚本に書いてない。そもそも「いい顔」ってどんな顔なんだろうというのは、ギリギリまで悩みました。

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 そんなときは、目の前の森田さんを信じるしかないんです。だからこのシーンのときは、森田さんに「いい顔」と言われた自分の感情を大事にしようと思って、出たとこ勝負で挑みました。

©山元茂樹/文藝春秋

初共演した森田剛は……

──森田剛さんとは初共演ですよね。

成田 はい。お芝居もですが、存在そのものがまわりを惹きつける方で、かっこいい方でした。男性から見ても女性から見ても魅力にあふれる方って、きっと森田さんのような方をいうのだろうなと。

 森田さんとご一緒するシーンでは、感情をどこまでも連れていってもらえる感覚になれて、面白かったです。「こういう動きならこうしよう」みたいなことをやりながら一緒にシーンを作り上げていけたこともありがたかったです。

──竹中直人さんも個性の強い存在です。ご一緒された感想をお聞かせください。

成田 竹中さんも、森田さんとはまた違う意味で強いインパクトがありました。

 いちばん印象に残っているのが、義男と福子の何気ない会話のシーンです。義男と福子が初めて会った日の夜、ふたりきりで話す場面があるのですが、ふたりが話している後ろで、隣の部屋にいる尾弥次(演:竹中直人)がさりげなく口笛を吹き始めるんです。竹中さんは監督もされているので、きっとこういうことをしたら面白い画が撮れると判断されたのだと思います。結果的にすごく叙情的でいいシーンになっていて、あとから観て感動しました。