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奥田さんとやる時は普段と違います。

――矢野さんと民生さんの共演では、ふたりのハーモニーも大きな聴きどころのひとつです。声質も歌い方も、まったく違うおふたりだと思いますが、矢野さんは民生さんの声についてどう感じていますか?

矢野 一緒に歌う時はほとんどの場合、私が奥田さんに寄り添うかたちになります。私のいつものアプローチ、自分が弾き語りでやっている時のようなアプローチの仕方は、彼には取らないです。

 例えば私が上原ひろみさんと一緒にやる時は、私はジャズピアニストではないけど、ジャズの素養があるので、その素養の中で会話ができるわけです。しかし奥田さんはそういった、私のような性質を持つアーティストではないので。彼の、彼にしか作れない素晴らしいものに、私が合わせていくようなやり方です。

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 なので、声の出し方も、奥田さんとやる時は普段と違います。やっぱりものすごい声量を使いますけど、その面白さがあると思います。

©三浦憲治

ふたりの共作、「父」の歌詞

――ギタリストとしての民生さんは、どんなギタリストだと思いますか?

矢野 そこをもっともっともっとディペロップしてほしいと思います。いつか私のレコーディングに彼をギタリストとして雇いたいと思ってますので。

――矢野さんの2018年のアルバム『ふたりぼっちで行こう』で、おふたりは「父」を共作しています。矢野さんが詞を、民生さんが曲を書いていますが、なぜこういう詞になったんですか?

矢野 ちょうどその頃に私は父を亡くし、民生さんもちょっと前ぐらいにお父さんを亡くしていたからだと思います。それにお母さんのことを歌う歌は、子どもの歌なんかでもわりと多いですけど、お父さんってあまりフィーチャーされないので、敢えてというか。でもたいして深い意味はなかったです。