自身の欲望を優先し、2人の子供を1カ月育児放棄、そして…。2007年に起きた痛ましい事件の顛末を、ノンフィクションライターの諸岡宏樹氏の著書『実録 女の性犯罪事件簿』(鉄人社)より一部抜粋してお届け。なお本書の登場人物はすべて仮名であり、情報は初出誌掲載当時のものである。(全2回の1回目/後編を読む)
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2人の子供を1カ月「育児放棄」したギャルママ
浜崎真理(21)は家庭的に恵まれなかった。3歳のとき、両親が離婚。父親が家を出て行き、仕事が多忙な母親にはほとんど構われず、施設に預けられたことで母親とも離別。中学に入ると非行に走り、高校にも進学しなかった。
16歳で結婚して長男を出産すると、母性本能に目覚めたのか、熱心に絵本を読み聞かせたりして、育児に励むようになった。
その2年後には次男を授かり、育児日記に〈パパとママの宝物だね〉と綴ったり、成長アルバムを作ったりしていた。
それから1年後、予想だにしない不幸が襲った。次男がうどんを喉に詰まらせて窒息死したのだ。真理は「子供を家で遊ばせていたとき、うたた寝してしまい、目を覚ましたときには次男が死んでいた」と説明した。警察は司法解剖したが、「事件性はない」と判断した。
だが、これをきっかけに夫婦仲は悪くなり、真理は三男を出産したものの、その直後に捨てられるような形で離婚した。
真理は長男と三男を連れて市営住宅に転居し、生活保護を受けることになった。子供たちを市立保育園に預け、飲食店などで働いたこともあったが、子供が熱を出せばいつでも休めるような昼の仕事はあまりなく、結局は長く続かなかった。
その後、真理は仕事が長く見つけられなかったことから、子供2人は退園処分になった。保育園のルールとはいえ、これが真理の肩に重くのしかかった。
真理はそうした不満や不安をSNSに書き込むようになり、そこで知り合った男性と遊びに出かけるようになった。スナックホステスとして夜の仕事を始めると、男性と知り合う機会が増え、いつしか「母」から「女」に変わってしまった。