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「社長の周りにいる女は、全員売春婦」

 会社の従業員たちは、この事実が野崎氏の耳に入れば、すでに離婚を切り出されている須藤の立場がますます悪くなるだろうと受け取った。実際に、この公判で証人出廷した当時の従業員らもそのように証言している。

 だが、証言台の須藤は言い切る。

「社長からAV出演を確認されたことはありませんでした。もし知られたとしても、社長自身が交際クラブなどに登録して、お金で女性を買っているんです。そういうところから紹介される女性って、私も含めて、みんな売春婦じゃないですか」

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初公判に出廷した須藤早貴被告=12日、和歌山地裁[イラスト・松元悠氏] ©時事通信

 そして須藤は、野崎氏が長年付き合っていた愛人女性のX子さんを引き合いに出し、こう続けたのだ。

「会社の人も『X子さんは売春婦だから社長は結婚相手にしない』と言っていたし、他の人も社長が『アイツはソープ嬢だからダメだ』と言っていたと。社長は、体を売る人を軽蔑していて、結婚相手にはしないと言いながらも、実際にX子さんには何度も『結婚してください』と言っているわけだし、社長自身が交際クラブから女性を紹介してもらっていて、女性もお金もらって社長と性的なことを……。社長の周りにいる女は、全員売春婦。だから、そんなの気にするか!って話です」

 須藤はやや語気を強めて、AV出演がバレたこともノーダメージだったと強調した。つまり、それが事件の引金には成り得ないと、検察側の見立てを否定したのだ。

 前後して、この日の被告人質問では、異様な新婚初夜の様子や、“紀州のドン・ファン”と呼ばれた野崎氏の虚像、事件の核心でもある覚醒剤購入の経緯についても、詳しく触れられた。

#8に続く)

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