お母さん 点数の悪かったテストを見せたらおこられるので、川にすててごめんなさい。これからは、ちゃんと見せます。
「川にすてて」は青文字で、「ごめんなさい。」は太く大きく書かれていて、川に「48点」の理科のテストが流れていく様子が描かれていた。48点で捨てなければならないのは、よほど勉強熱心な家庭だったのだろうか。
ダーリンへ
こんなに肥えて
ごめんなさい。
やっぱり
幸せ太り
かなあ。
ハガキいっぱいに大きな文字で記されていて、「ごめんなさい」と「幸せ太り」が特に太く書かれていた。
中学生の時の1年3組のみんな&先生、ごめんなさい。私が給食当番の時、魚のフライの食カンを運んでいたら、あやまって、ろうかに全部落っことしてしまい、パニックになった私は、誰も見ていなかったので、とっさに、いそいで元に戻し、何くわぬ顔で、みんなに配り、食べさせちゃいました……。今まで、本当の事、言わなくてごめんなさい。あのあと、誰も、腹痛を起こさなかったのが、私の救いでした。
本当に、ごめんなさい。
文章の周りはイルカとチョウのシールで裝飾されていた。
お母さん、結婚式の時もとうとう言えなかった。子供の頃、一緒に電車に乗って切符を失くしたのは私です。駅員さんに必死で謝る姿、今でも忘れません。ずっと黙ってて、ごめんね。
白い服に身を包んだ女性の清楚で悲しげな顔が描かれていた。ウエディングドレス姿の自画像だろうか。
こうして並べてみると、確かに徳久さんの言う通り、深刻な内容はない。誰しも身に覚えがあるようなこと、相手が覚えているか分からないのにずっと気になっていたこと、謝るというより幸せを自慢しているような内容まで含まれている。