2025年4月から放送される朝ドラのタイトルは、『あんぱん』だという。タイトルからなんとなくわかるとおり、アンパンマンの生みの親、やなせたかしの妻がモデルの主人公。その舞台は、高知県だ。

 高知と朝ドラといったら、2023年4月からも『らんまん』が放送されていた。なんだか高知はずいぶんと朝ドラにひいきされているようだ。まあ、それだけモデルにふさわしい人物が輩出されている、ということでもある。

 高知というのは、ずいぶん特殊な土地だと思っている。そんなに何度も訪れたことがあるわけではないが、そもそも地図を見れば一目瞭然だ。すっかり四方八方を山と海に囲まれた、どん突きのような場所にあるのだ。

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 その上、高知の浜から見える海は太平洋。穏やかな海に小島が浮かぶ瀬戸内とは違って、太平洋の先はどれだけ眺めても海ばかり。そんな海をいつまでも見ていたら、そりゃあもう、日本の夜明けなんぞを考えたくもなってしまうのだろう。

 そんな高知の玄関口が、高知駅だ。高知と言えば南国だから、きっと南国らしい風情を漂わせたターミナルに違いない。そこにどん突きの町のターミナルという要素も加われば、なかなかに独特な雰囲気を持っているのではないかと期待せずにはいられない。さあ、高知へ行こう。

“ナゾの県庁所在地の駅”「高知」には何がある?

“ナゾの県庁所在地の駅”「高知」には何がある?

 東京から高知に行くとなれば、それはもう事実上選択肢は飛行機だけだ。が、ここでは目的地は高知そのものと言うよりは、まず第一に高知駅に降り立つことが肝要である。

 どん突きの町でも、高知は意外と鉄道の便に恵まれている。岡山駅から特急「南風」が走っているのだ。それも1時間に1本ペース、2時間半ほどで岡山~高知間を結んでいる。ざっと東京から新大阪みたいなものだと思えばわかりやすい。

今回の路線図。岡山駅から特急で2時間半ほどの場所で、四方八方を山と海に囲まれた「高知」

 その上、この「南風」という特急には、アンパンマンのラッピングが施されている。アンパンマンさんはさすがのヒーロー。そして、やなせたかし先生も実に偉大なのだ。岡山駅のホームに停まる、アンパンマンをまとった「南風」。もうこの時点で高知ムードがムンムンである。

まるで新幹線でもやってきそうな立派な駅を出ると…

 

 と、そんなこんなで高知駅。見たところは、まるで新幹線でもやってきそうな立派な高架駅だ。が、中身は2面4線とシンプルで、乗り入れている路線は土讃線ひとつ。

 

 そして、ここでもホームからコンコースに降りるとアンパンマンのイラストが出迎えてくれて、とにもかくにもアンパンマン。高知のシンボルって、いまやアンパンマンなのだろうか……。