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 帯屋町の商店街を西に抜ければ、アーケードが途切れたところにはひろめ市場。1998年にオープン、地場の飲食店を中心にあらゆるジャンルが揃っている“食のテーマパーク”だ。高知にやってきた観光客は、とりあえずこのひろめ市場に行けば間違いはないそうだ。

 そしてさらに西に進めば高知城の天守閣が見えてくる。高知城の天守は、現存十二天守のひとつ。小高い丘の上に築かれていて、天守に登れば高知の町を一望することができる。

 

どうして駅前と中心市街地がこれほど離れている?

 いまの高知市の中心市街地は、この高知城の城下町として整備されたのがはじまりだ。関ケ原の戦い後、改易された長宗我部氏に代わって山内一豊が入り、はじめて本格的な城下町を築いた。

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 それまで、高知の市街地一帯は浦戸湾の入り江の湿地帯。長宗我部氏もたびたび町づくりを試みたがうまくいかず、浦戸城に拠点を置いていた。そこに現れた山内一豊は、当時最新の土木技術と築城技術を駆使して城と城下町を整えた。

 城下のいちばんの中心は、はりまや橋付近から高知城にかけて。つまり帯屋町のアーケード一帯だ。ここが「郭中」と呼ばれ、さらに西側には上町、東側には下町と呼ばれる城下町が拡大していった。ちなみに、坂本龍馬が生まれたのは上町の一角。路面電車の走る国道沿いに、生家跡の記念碑が置かれている。

 高知城の脇には高知県庁や高知市役所があり、アーケードの裏には歓楽街ゾーンも。古い城下町の形が、時代を超えていまに受け継がれているというわけだ。

 

 ここで改めて旅の原点、高知駅に戻ってみる。高知駅と中心市街地は、歩くとだいたい20~30分。路面電車で繋がっているとはいえ、ちょっと離れすぎているきらいがある。そして、駅前は中心市街地ほどの賑わいを持たない。これはどういうわけなのか。