都会の人は、鉄道の列車のことを何でもかんでも“電車”という。「今日はお酒を飲むつもりだから電車できたよ」といったあんばいだ。実際に都市部を走っているのはほとんどが電気で走る電車だからまったく間違ってはいない。
ただ、そんな日常のクセのおかげで、“電車”の走っていないローカル線でもついつい“電車”といってしまう。で、「あれは電車ではなくてディーゼルカーで……」などとご指摘を頂戴することになる。通じれば別にどっちでもいいじゃん、と思わなくもないが、まあとにかく都会は電車だらけ、ということなのだ。
日本はおかげさまで電車大国なので、全国どこに行っても何かしらの“電車”が走っている。都市部に限らず日本の津々浦々まで電車が走る。ところが、そんな中でたったひとつ、“電車”が走っていない県がある。
沖縄……にはモノレールがあるのでこれも電車の一種といっていいだろう。となると、電車がないのはどの町か。答えは、四国4県の一角を占める、阿波おどりでおなじみ徳島県である。
“電車”のないターミナル「徳島」には何がある?
電車が通っていない、と聞くと、これまた都会人の業というべきか、悪癖というべきか、たいそう寂れているのではないかと思ってしまう。町がどうこうというよりは、鉄道が寂れているのだろう、と思い込む。
電車ではなくやってくるすべてがディーゼルカー。そんな徳島のターミナル・徳島駅とはどんな駅なのだろうか。
徳島駅は徳島県の北東部、吉野川河口付近の平野部にある。乗り入れている路線は高徳線・牟岐線・徳島線・鳴門線。その中でも中心的な存在というと、やはり高松と徳島という県庁所在地同士を結ぶ高徳線だろうか。特急「うずしお」も走る、大動脈のひとつだ(もちろん電車は走らないんですけどね)。
そんなとても大事な路線が通っているだけあって、徳島駅はけっこう広い……と言いたいところだが、これがまた、2という実にシンプルな構造。ホームの反対側には留置線が多数設けられていてそれなりの規模感はある。が、やっぱりどでかいターミナルというにはちょっとアレかな、と思ってしまった。
ひとつだけの出入り口を外に出ると駅前にびっくり。これは…
そして出入り口も南側に向いてひとつだけ。もちろん自動改札もありません。さてはて、駅前はどんな……。