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龍馬でもカツオでもない…“ナゾの県庁所在地の駅”「高知」には何がある?

2024/03/04

genre : ライフ, , 社会, 歴史

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路面電車沿いに目抜き通りを南へ歩く

 ならば、駅から少し歩かねばなるまい。ひとまず、路面電車が走っている目抜き通りを南に歩く。いくつかのホテルやオフィスビルが並ぶ中を歩くこと5分ほど。江の口川に架かる高知橋という橋を渡ると、少しずつ賑やかな雰囲気が増してゆく。

 中央分離帯に街路樹が植えられている大通りを跨ぎ、さらに南にゆくと、東西に走るアーケードの商店街。それもまたやり過ごせば、国道56号が東西に通る大交差点。「はりやま交差点」という。

 この交差点を中心に、路面電車は南北東西に行き交って、四つ角すべてには大きなビルが建つ。ひとつは「デンテツ・ターミナルビル」という、とさでん交通が土佐電気鉄道だった時代の名を残す雑居ビル。ひとつは、いかにも老舗っぽい和菓子屋さん。もうひとつは四国銀行本店で、さらにもうひとつはパチンコ店。もともとは百貨店の高知西武があったという。

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 このはりまや交差点に立って国道沿いを眺めれば、道沿いにはずらりと並ぶ商業ビル。歩道を行き交う人も多ければ、車道にはひっきりなしにクルマが走る。その合間を縫うのが路面電車。はじめて高知にやってきた人も、この交差点に立ったら、「ああ、ここが高知の中心ですね」と納得するに違いない。

交差点の脇に小さな朱塗りの橋が。これが…

 そして、はりまや交差点の脇っちょに、小さな朱塗りの橋がある。これがご存知「はりまや橋」だ。

 

 江戸時代、高知城下の豪商の播磨屋と櫃屋がお堀を隔てて向き合っていたが、両者を結ぶために架けられたのがはじまりだとか。「よさこい節」やペギー葉山の『南国土佐を後にして』などで有名になって、観光名所になったという。この名所のはりまや橋のある交差点。高知の町の中心は、高知駅ではなくてこの交差点なのである。

 はりまや橋から西に向かって歩く。国道のすぐ脇には帯屋町のアーケード商店街がこれまた東西に延びている。大丸やドトールコーヒー、ビッグエコーもあるような、典型的な地方都市の商店街。訪れたのが雨降りの平日だったからか、人通りはそれほどでもなかったが、あらゆるジャンルの店が並んでいる典型的な中心市街地だ。