冒頭でとりあげた『フィクサー』でも、Season2において内田演じる玲子が東京都知事選に出馬するに際し、支援を取りつけるため面会した富田靖子演じる総理大臣からその覚悟を試されるシーンなど緊張感たっぷりだった。奇しくも富田も前出の広末も、時期こそ違うものの内田と同様、舞台でつかこうへい演出の洗礼を受けた経験を持つ。
米倉涼子との「サッパリした」関係性
二人の女性の関係性といえば、2012年にスタートした人気ドラマシリーズ『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』で演じ続けてきたフリーランスの麻酔科医・城之内博美と、米倉涼子演じる主人公・未知子の組み合わせも外せない。放送開始から5年経った2017年には内田と米倉がそろってインタビューに応え、お互いについて次のように語っていた。
内田「私たちの関係ってサッパリしていて、ちょうどいい距離感なんですよ」
米倉「そうそう! プライベートでは全然会わないしね(笑)。ただ、やっぱり5年の付き合いですから、信頼関係が年々厚くなっているのは感じますね。今では、深いこともサクッと言い合うことができる関係なんですよ。しかも、その話を引きずらない!」
内田「なので、とても心地いいですね。米ちゃんはどんなに大変な撮影も力強く乗り切ってくれるので頼もしいし、とても信頼できる人です」
(『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』公式サイト、2017年11月13日配信)
さっぱりした関係性は劇中の博美と未知子にも重なる。なお、米倉は内田と同い年で、俳優デビューの前後にユニチカの水着キャンペーンガールを務めた点も共通する。そんな二人が出会った『ドクターX』は来月(2024年12月)公開の劇場版でシリーズが完結することになった。
10月8日に行われた映画の完成報告会見で内田は、「彼女(米倉)が大門未知子を降りて、これを最後にすると決めたその決断を私たちはただただ応援するのみだと感じたので、いつもどおりやっていこうと思いました」と語った。その切々とした言葉からは、米倉が難病と闘いながらシリーズの幕を下ろす決断を下したその心情を慮りつつ、長年共演してきた同志として、せめて花道を飾らせてあげようという内田の思いが伝わってくるようであった。