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最後のホストの一人は、48歳銀行員

「いま私以外のアクセスはまったくないので0です。私の独り言の場です。最盛期は日に10人くらいアクセスしてくれていたと思いますが……」

 そう吐露してくれたのは、老舗のパソコン通信「西和ネット(旧:MYSTIQUE)」(http://jp3tlc.dip.jp/com/index.shtml#LINKS)のSYSOP(システムオペレーターの略で、パソコン通信の管理者)である山田和弘さん。48歳の銀行員だ。

「パソ通全盛のときは学生で、なかなか長時間回線をつなげませんでした。お金を節約するため、電話回線では無く、アマチュア無線で無料でつないでいたこともあります。そのため、ホストには憧れていて」

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郷愁を呼び起こすメインメニュー

 ようやくパソ通ホストになれたのが93~94年ごろ。すでにブームは終わりかけの時期だった。

「クラシックカーに憧れるようなもので、いまとなっては性能が低くても、それに乗りたいのと同じです。パソコン通信ホストになって、学生のときの夢を叶えたかったんです」

「アクセスはなくても当然なので気にしていません」

 それでは中を色々見てみよう。慣れない操作でさまざまなボードを開けると、シンプルな黒画面と白い文字による、宇宙のような世界が広がる。

 いろいろな投稿があるが、何やら会話の話題が古い。そう、最新の投稿が10年前というのも珍しくないのだ。

こちらがボードメニュー。話題ごとに語り合える

「アクセスはなくても当然なので気にしていません」と達観している山田さん。一人でも、細々と書き込みを続けている。ほぼ誰も見ていない、紙の日記帳へ書くのにも等しいにも関わらずである。

 それでもごくたまに書き込みはあり、その際の話題はいまのWindowsなどのコンピュータの話や、「石油ストーブを買った」などの他愛もない話が中心だとか。

電報、時差チャット……パソコン通信独特のサービスが残る

 現在、極めて希少な存在がファイルライブラリ。当時は貴重だった、各種ソフトやゲームをオンラインで入手できる場。「Windows3.1」「98用DOS」「MSX」用のソフトなどが並ぶ。

当時のソフトたち
例えば「Q&Aコーナー」は、17年間新規書き込みがない

 このほか、ログインしているユーザーにメッセージを送れる「電報」、短文での掲示板のように使う「時差チャット」など、パソコン通信ならではの機能が、いつかまた使われる日を待っているのだ。

Windows3.1用のMIDIプレイヤー