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パソコン通信“最後のホスト”「死ぬまで続ける」と語る理由

パソコン通信“最後のホスト”「死ぬまで続ける」と語る理由

ネット秘境の住人に話を聞いた!

2018/05/28
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パソ通を16年休業し、復活させた人

 ここで、もう一つの現役パソコン通信ホスト「はんぞーBBS(https://www.hanzou.jp/hanzoubbs/)」のはんぞーさん(40歳・SIer=システムインテグレーション業)に話を聞いた。1995年~1997年9月にホストを行い、16年もの長い休業期間を経て、2013年から再スタートした。

「復活のための準備は、1年半以上もかかりました。再オープン時には知人に宣伝したものの、5年経っていまだ誰もアクセスしてくれません(笑)。95~97年時に比べ、相当アクセス数は落ちていますね。ましてやリピーターは激減しました」

文字で「はんぞー」のロゴを表現したトップ画面。

 ボードになかなか新しい書き込みがされない中、比較的更新が多いのは最後の「たわごと」で、常に新たな書き込みがされている。パソコン通信は、ログアウト時に短文で軽くコミュニケーションを取る文化もあったのだ。

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ログアウト前、気軽に参加できる「たわごと」

「パソコン通信ホストは『DASH島』のようなものです」

「インターネットに比べ、パソコン通信はクローズドな世界です。SYSOPを筆頭に投稿の管理や監視が行われていて、無法地帯なインターネットに比べてモラルは高かった。また荒らしを防止するために『要注意リスト』もホストの間で出回っていたそうです」

「パソ通では、2ちゃんねる以上に制約がある中で工夫されたアスキーアート文化もありました。そんな『テキスト文字だけでやり取りしていた時代の文化』を廃れさせないためにも、数少ないホストとして頑張ります。できれば死ぬまで維持しようと思っています。また人が集まったら、オフ会もやりたいので……」

2ちゃんねるより前に、アスキーアート文化があった

「死ぬまで続ける」と口をそろえたお2人。そして先ほどの山田さんに「なぜ続けるのか?」を問うと、ポツリと返ってきた言葉がある。

「パソコン通信ホストは『DASH島』のようなものです。無人島で、トロッコの線路を敷いたり、水を引いたり、レンガを焼いたり、いろいろ工夫して狙い通りに動くのが面白いのであって、それができたから、どうなんだ? とかは考えておりません。といいますか、それを聞いてはいけません。おおよそ人間のすることに大した意味などないのであって、ましてや興味のない方は、意味なんか感じなくて当然です」

パソコン通信“最後のホスト”「死ぬまで続ける」と語る理由

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