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香取が“強いプライド”を持っていた番組

 SMAPの裏リーダーでありながら、もちろん時に応じて最前線に立ち、マルチな才能も発揮できるのが香取慎吾さんの凄みです。2001年から2017年まで続いた情報バラエティ番組『SmaSTATION‼︎』でメインパーソナリティを務めていたことからもわかるとおり、香取さんは司会がものすごくうまい。

 司会といえば中居正広さんというイメージですが、香取慎吾さんはまたタイプが違う。彼はとにかくスマートな進行で、ゲストに好かれるタイプです。

©文藝春秋

 時間の管理がまた天才的です。テレビ番組では進行役がチェックできるタイマーが用意されますが、残り時間を把握したあとの手際が見事なのです。終了まで残り10秒だったら、ふつうの進行役であれば話のスピードを落としたりまとめの言葉で時間を使います。香取慎吾さんは、10秒あればゲストとのやりとりをあとふたつくらい盛り込めるな、と瞬時に計算して判断・実行します。

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 それほどの能力を持っているので、『SmaSTATION‼︎』ではトークシーンでも、彼が時間を管理していました。コーナーの残り時間があとどれくらいか、つねに把握しながら話を回していたのです。

 土曜日の放送で、映画やドラマの宣伝を兼ねて出演するゲストも多かったのですが、そのあたりの話をきちんと盛り込んでいくのも、もちろん忘れない。来てくれた人にとにかく幸せな気持ちになって帰ってもらおうという意志を、いつも強く抱いていました。

『SmaSTATION‼︎』という番組に対して、香取慎吾さんは強いプライドを持っていました。SMAPを解散したあとも翌年に至るまで続いた、思い入れある番組でした。

『SmaSTATION‼︎』をやっていたおかげもあるのか、香取慎吾さんは、いまこの時代に起きていることに対する関心と好奇心が強い。周囲への気配りも含めて、人間的な幅の広さを感じさせます。そのことがまた俳優として特異な位置を占めることにもつながっていきます。