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「アベはジャパン・ファースターです」

 フリンは、トランプが安倍に会う前にトランプに短くブリーフした。一つは、日本について。もう一つは、安倍に関して。

「日本はこれまで米国にずっと頼り切りでやってきた。しかし、日本はもう米国の脇役に甘んずる国ではない。アジアでもっと大きな役割を果たす国です」 

 フリンは、日本が米国に依存してきたのは、「第2次世界大戦後、米国は日本が再び台頭しないようにさせてきた」からであり、それはもうやめなければならない、日本に自分を守るためのパンチ力を持たせることが必要だ、と考えていたし、トランプにそのように進言してきた。 

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「アベはジャパン・ファースターです。アメリカ・ファースターのあなたのある種の照り返しのような存在です」 

 安倍が発言した。

「本当に、劇的な勝利でしたね。すべてのメディアの予想を裏切りました。あなたと私には一つ共通点があります。ニューヨーク・タイムズに批判されながらも、選挙で勝つ、その一点で」

 トランプは腹を抱えて、笑った。

「来年1月27日にお会いできれば光栄です」

 安倍は真顔になって、続けた。

「来年1月20日が就任式ですよね。その後、できるだけ早い時期に日米首脳会談が実現できれば嬉しいです。お忙しいことは重々承知の上ですが、もし、こちらの希望を言わせていただければ、来年1月27日にお会いできれば光栄です」

「1月27日がいいのですね。できると思います」

 トランプは、フリンの方を向き、その日程を押さえるよう指示してから言った。

「大丈夫です。おそらく、自分の就任後、初めてホワイトハウスでお迎えする外国の指導者はあなたとなるでしょう」

 安倍は、最初に日本を取り巻く国際環境についてトランプに説明した。

「日本は、北朝鮮だけでなく、一方的に力による現状変更をしようとする中国と向き合わなければなりません」

 安倍は、11月20日からペルーのリマで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で習近平中国国家主席に会う予定である。「中国は日本にとっての最大の貿易相手国であり、大切な国です。中国に対しては、軍事拡張を追求するのではなく、経済発展を進め、国際社会のルールに従い、責任ある役割や立場を果たしていくように促すことが大切だと考えています」と言った。