「中国の標的は米国です、第7艦隊です」
しかし、残念ながら、中国は軍拡の道をひた走っている。
「1989年に比べて中国は軍事費を40倍に増やしています。潜水艦の能力も急速に高めています。米国は現在70隻潜水艦を保有していますが、中国も61隻です。米国と違って中国の潜水艦はすべて原子力潜水艦というわけではありませんが、建艦ペースが急です。空母を運用する上で潜水艦は重要な役割を持ちます。中国は空母を建造し始めています。旧ソ連圏から輸入した『遼寧』に加えて、いま、国産の空母を建造中です」
そのように、安倍は中国の軍事的能力の急拡大を数字で示した。
より深刻な問題は、そこに込められる中国の意図である、と安倍は言った。
「中国の標的は米国です、第7艦隊です」
中国は南シナ海の海域のほとんどについて領有権を主張し、岩礁を埋め立て、3000メートル級の滑走路を整備している。「軍事化しない」と約束しながら、対空ミサイルを配備している。日本が中東から輸入する原油を運ぶタンカーはすべて南シナ海を通過する。中国の海洋進出と一方的な現状変更は日本にとっても重大なリスクとなりつつある。
安倍はそのように指摘した後、米政府がこの地域で実施している「航行の自由作戦」が十分な頻度で行われていないことへの懸念を表明した。
「国防総省はもっと頻繁に実施することを主張したのですが、ホワイトハウスが反対したのです」
トランプは首を二回、三回と横に振った。
中国や北朝鮮について次々と質問を浴びせかけた
そのような中国に日本はどのように対応しているのか、とトランプは質した。
日本は中国には毅然と対応してきた、と安倍は答えた。
「中国は『アベには会わない』と圧力をかけてきましたが、我々は姿勢を変えなかった。結局、対話を開始することになりました。中国は、軍事的に弱いと見た国には『会う』『会わない』のゲームを仕掛けて来るのです」
トランプは熱心に聞き、安倍に中国や北朝鮮について次々と質問を浴びせかけた。
いくつかやり取りがあった後、トランプが突然、安倍に質した。
「ところで、日本にとって、中国と北朝鮮のどちらがより大きな脅威なのですか?」