人間失格の世界に耽溺した後に、子どもたちを裸にして並べて、彼らが気を失うまで暴力をふるい、そして犯し続けた。父は息子にも口淫・肛門性交を行い、性欲の捌け口にして歪んだ支配欲を発揮したのだ。
筆者が「彼がやったことは悪魔の仕業ですね」と問うと、
「父は悪魔ではありません。鬼畜です。最初から自分の欲望を満たすために、子どもをもうけたとしか思えない。私はあの男の死を願う一方で、社会的な制裁を受けるまでは死んでほしくないという、相反する気持ちを抱いて毎日を過ごしています」
と、至極冷静に語る。彼女はどれだけ酷い体験を語る瞬間であっても、決して感情的にならない。そうしないと彼女の心が壊れてしまうからかもしれない。
初めての妊娠は、父の子の可能性が高かった
たえさんが15歳になると、生まれ育った山口県から、東京へ出稼ぎに行く父に無理やり一緒に連れて行かれることに。父のレイプを放置していた母は、不倫の末家を出て行った。弟は児童養護施設、末っ子の妹は祖母の家に預けられるなど、家族はバラバラになった。
「出稼ぎ先の建設会社で私も働かされることになりましたが、そこの作業員で私に好意を持つ男性がいたんです。それを知って奴は怒り狂いました。私を“自分の女”だと思っていたんですよ。そのうち、今の夫と知り合って逃げるように彼の家で同棲すると、父は私をラブホテルに拉致して、避妊もせずに私をレイプ。また、『男二人(父と夫)を手玉に取って楽しいのか?』とわけのわからないことを言ったり、私を無理やり自分の元へ連れ帰ろうとしたりしました……」
その後たえさんは妊娠。そして流産した。
「夫の子なのか、父親の子なのか、わからなかったのですが、夫の子だと信じて産もうと決意したんです。流産した時の担当医にレイプされたことを打ち明けたところ、胎児の週数からいうと父親の子の可能性が高いと。染色体異常によって流れたのではないかとの見立てでした」