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 本来であれば言頼できるはずの警察や法律を、心から信頼できない。そんな現状に、国民がうんざりしているのでしょう。だから、自分たちで罰をくだすのです。

 日本の場合、犯罪者に対し、一般人が殴ったり蹴ったりすることはありません。犯罪者を裁くのは法律だし、むしろ犯罪者に対する暴力自体が場合によっては犯罪になる可能性もあります。

「犯罪者は法が裁くものだ!」と思っていたけれど…

 メキシコのような世界においては、悪いことをしても逃げ切れてしまう。

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 私も当たり前のように、犯罪者は法が裁くものだ!と思っていました。しかし、胸糞悪い事件の犯人がまだ捕まっていない、ということを何度も聞くうちに、そんな綺麗事言ってられないのかな……自分の中の常識が揺らいでいくのを感じます。

写真はイメージ ©getty

 これはあくまで私個人の見解ですが、メキシコ人が自分たちで罰をくだすのには、「見せしめ」という側面もあるかもしれません。

 強盗をバスから投げ捨てるような動画がSNSで拡散されることで、実際に強盗をしようとしていた人の気が失せることもあるかもしれない。つまり、あのリンチがほかの犯罪の抑止力になっているのかも……。事実はわかりませんが、いろいろと考えさせられてしまいます。

 日本は、悪いことをしたら警察がちゃんと捕まえてくれます。そのうえ、法律がきちんと裁いてくれます。

 警察と法律が機能している。

 これだけで、日本は恵まれているのだと思うようになりました。