11月17日に投開票が行われた兵庫県知事選はテレビや新聞にとって想定外の結末で、失職した斎藤元彦前知事がまさかの再選を果たした。テレビ各社は「背景にSNS」という解説を繰り返している。制約がほとんどないSNS。制約が多いテレビや新聞。決定的な要因としてSNSの影響力があったという見立てはどの大手メディアでも一致している。

 さらに兵庫県内のPR会社の社長が11月20日、斎藤陣営で「広報全般を任せていただいていた立場」とnoteに投稿し、公職選挙法違反の疑いへと世間の関心は大きく動いた。

 テレビ報道を研究する上智大学の水島宏明教授が、一連の報道を振り返る。(全2回の1回目/後編に続く)

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11月17日放送「Mr.サンデー」(フジテレビ)より

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宮根誠司氏は「われわれ大手メディアの敗北」

 開票速報で当選確実を全国放送でまっさきに中継したフジテレビの「Mr.サンデー」。

 選挙中の候補や有権者の熱狂ぶりを伝えた。斎藤氏本人も生中継で出演した。SNS分析の専門家が解説し、その後に続いたあらゆる番組の「論点」を取り上げた番組だった。

 投開票が3日後に迫る11月14日、兵庫県の市長会29名中の22名が斎藤氏の対立候補の稲村和美氏への支持を表明した記者会見にも「Mr.サンデー」は注目した。市長のひとり谷口芳紀・相生市長が感情的に机を叩く動画を自らSNSに投稿したが、これがSNSで有権者の強い反発を招いたことを伝えた。

11月17日放送「Mr.サンデー」(フジテレビ)より

 宮根誠司キャスターは「今回、我々ひょっとしたら初体験かもしれない……SNSの力。これにはちょっと驚きましたね」と感想を述べた。選挙に詳しいゲストが続ける。