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「最終的には突き返されたようですが、チームはなんとしてでも慰留しようとしました。鳥谷も大卒の生え抜きキャプテンで、大山も同じ。チーム内では主力選手の域を超え、他選手への影響力が強い。既に監督の資質も認められているだけに、監督の座を約束しても不思議ではありません。残留コメントで阪神への愛着を強調した大山の言葉からは、今後も長くチームの一員として活動していく覚悟も窺えたので、その可能性は高いです」

 ならば巨人も監督手形を切る手はなかったのかとなるが、「それだけはできないでしょうね」と前出の元監督は断言する。

©時事通信社

「生え抜きのエースと4番しか監督になれない」という巨人の不文律

 巨人には、生え抜きのエースと4番しか監督になれないという不文律が存在する。阿部監督が指揮を執る現在まで、創設から90年にわたって頑なにその伝統を守っている。

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「これだけ選手の移籍が活発になっているのですから、いずれ外様の選手が監督になる時代が来るかもしれませんまた、そうでもしないと、巨人がFAの移籍先に選ばれないようになる。それでも今はまだ外様から監督になった人はいない、大山に対しても、コーチ止まりで監督の座は約束できなかったのではないでしょうか」

 プロ野球選手は、引退後の人生の方がはるかに長い。大山も長期的なビジョンを持っていないはずがない。チームに対する愛着や熱狂的なファンの存在、さらに宿敵のユニホームを着て甲子園でプレーすることへの抵抗感以上に、セカンドキャリアでのアドバンテージで阪神に軍配が上がったのかもしれない。