30年来のジャニーズ(現STARTO ENTERTAINMENT)ファンであり、『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の著者でもある霜田明寛さんが、2023年の一連のジャニーズ性加害問題以降に感じてきた葛藤と思いを込めた『夢物語は終わらない ~影と光の“ジャニーズ”論~』(文藝春秋)を上梓した。
ここでは同書より一部を抜粋して紹介する。ジャニーズ事務所のエージェント制への移行が発表された後、真っ先に事務所が契約に向けて動いている旨が発表されたのが木村拓哉だった納得の理由とは――。(全3回の3回目/最初から読む)
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SMAP解散後の“原点回帰”
ここで2022年には50代に突入した近年の木村拓哉について見ていこう。
もともと、SMAPの他のメンバーのように個人でのバラエティ番組がなかった木村は、解散後、必然的に俳優業がメインとなった。さらに2020年からはソロでの音楽活動も始動させ、アルバムを出しコンサートも行っている。楽曲は山下達郎や森山直太朗、Dragon Ash・Kjの提供曲や、鈴木京香や明石家さんまといった木村への理解の深い人物に詞を提供してもらったものなど、組む相手を選ぶ時点から作り込まれた印象だ。楽曲提供をした久保田利伸は「人生観まで声に乗せてくれた」と木村の表現を絶賛している(※1)。
だが、アルバムの発売に際しては、SMAPの頃には当たり前のようにされていた、発売時期に行われる歌番組への出演なども抑えられ、過度なプロモーションはされない。商品というよりも“作品”に近い届け方になっているのだ。
2022年の『ぎふ信長まつり』では、1万5000人分の立ち見の観覧席に、96万6555人が応募し、当日の木村拓哉扮する信長の行列に熱狂する様子が大きく報じられた。50歳を目前にしても“キムタク”はまだキャーキャー言われる存在なのだ。休日に岐阜にまで足を運び、木村を生で見たいと考える人間が少なくとも約100万人はいる。芸能界に生きる木村拓哉=キムタクは未だに支持されている。