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 そして0時、戒厳軍のヘリが国会の広場に降り立った。国会議事堂に近い汝矣島に住む知り合いによれば「ごぉーっという音が聞こえて、なんだろうと思ったら国会に向かっていたヘリコプターだった」と言い、「何が起きるのかって不安で寝られなかった」と話していた。

 国会の本会議場がある建物では、中にいた補佐官らがバリケードを作っていた。大統領の指示で国会を制圧に動いた「韓国戒厳軍」の軍人たちが中に入るのを阻止しようとしたが、戒厳軍はバリケードを破ったり、ガラス窓を割って建物に侵入。国会の中で、国会関係者と軍人がにらみ合いになり、消火器の煙が立ちこめるなど混乱した様子がリアルタイムで中継された。

国会の前に集まった人々 ©時事通信社

 中道系紙の記者によると、戒厳軍は「707特任団」「空輸特戦旅団」ら280人あまりが投入された。いずれも有事の際には極秘任務など各種特殊作戦を遂行する「特殊部隊」だ。

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 本会議場がある建物の前でも市民が軍に食って掛かりもみ合いが起きたが、国会に入った議員たちによって戒厳令解除が可決されたニュースが伝えられると、市民から「おーっ」という歓声が上がった。

 韓国メディアは、国会前に集まった市民の声を伝えていた。

「食べて生きていくのも大変なのに、戒厳令なんて大統領のすることですか」、「真夜中にどうして一般市民が怒らなきゃならないのか、立ち上がらないといけないのか。今回の戒厳令は解除されたが、またやらないという保証はない。自分たちの手で民主主義を実現しよう」などのコメントが放送された。

「野党の呼びかけで組織的に動いた人も」

 国会の近くの飲食街から駆けつけた人もいたようだが、前出の記者によれば「それだけではなかった」という。

尹大統領の辞任を求めるデモは連日のように発生していた ©AFLO

「国会前に集まった群衆の中には『尹錫悦 弾劾』『弾劾こそ平和だ』と書かれたプラカードを持っている人も多くいました。いち早く駆けつけた人たちの中には、野党の呼びかけで組織的に動いた人もいたのではないかと思います」

 一夜明けた4日、大統領室の秘書室長と首席秘書官らが一斉に辞任を表明し、「共に民主党」などの野党6党は尹錫悦大統領の弾劾を求める議案を国会に提出した。これまでもソウル市内では毎週のように尹大統領の弾劾デモが行われていたが、市民への広がりはなかった。しかし、今回の「戒厳令」により世論も大統領退陣に流れており、弾劾訴追の票決にも影響を与えると見られている。