12月3日22時23分、韓国の尹錫悦大統領は「非常戒厳」を宣布したが、2時間半後に国会で解除要求決議案が可決され、尹大統領はそれを受け入れ明け方4時半に解除を発表した。
中学生の子どもを持つ知り合いは「明日は休校になるのかな。そもそも外に出られるのかしら」とやきもきしていたが、通常通りのスケジュールとなり、朝方「ようやく寝られる」というメッセージが来た。何が起きているのか、それが現実なのか幻なのかもわからぬままに過ぎた6時間だった。
最初に速報で「非常戒厳」という文字を見た瞬間の感想は「フェイクニュースか?」というものだった。知り合いの記者に確認しても「チラシ、チラシ(韓国の証券業界で出回る真偽不明の情報)」と一蹴されたが、尹大統領の談話が発表され、テレビ各局も国会前のライブ中継に。
警察の大型車が国会前に1台、2台と到着する姿が映し出され、急遽組まれた特番ではニュースキャスタ―が現状把握に右往左往し、「非常戒厳」の法的な意味や発効を巡ってネットで調べながらの生放送という異例の進行が続いた。
「国会に来てください。私も向かいます」とライブ配信
政治家たちの反応も早かった。
尹大統領の宣布から26分後の22時49分には、大統領が所属する与党「国民の力」の韓東勲代表が「非常戒厳は誤り。国民と共に必ずや阻止します」とコメントを発表。野党「共に民主党」の李在明代表も、車で国会に向かいながら車中で22時56分にライブ配信をしながらこう呼びかけた。
「国民のみなさんが国を守らなければなりません。国会に来てください。私も向かいます」
23時になると、国会議長が「すべての国会議員はすぐに国会本会議場に集まってください」と公示。国会の正門はすでに封鎖されていたが、門の前には大勢の市民が集まっており、「門を明けろ」「戒厳撤廃」「大統領は辞めろ」と連呼しながら警察と対峙していた。
議員や市民らが国会に入ろうとするのを警察は阻止しようとしたが、もみ合いに。「ケガをしますから入らないでください」という警察に対して、市民も「ケガするからどけ」と言い返した。その間隙を突いて正門の脇の柵を越えて中に入る議員を後ろから押し上げたり、柵を越える様子を自ら動画配信する国会議員もいた。