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何歳になっても、思いがけないことは起こる

――これからエスムさんがやりたいことはありますか。

エスムラルダ 腰を据えて小説を書きたいんですよ。今まで何度かチャレンジをして、最後まで書いたものもあるんだけど納得できなくて。

――今までに発表された小説は?

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エスムラルダ まだないです。ただ、去年、依頼されて一人芝居の朗読劇の脚本を書いてみたら、ほぼ小説みたいな出来上がりだったの。しかも、自分にとってはハードルが高いと思っていた情景描写とかも割とスラスラ書けた。それで「そっか、小説を書こうとすると身構えちゃうけど、朗読劇を書くつもりで書けばいいんだ」って気がついて。その手法でチャレンジしてみようかなと思っています。

 

――小説にはご自身の経験を反映させますか?

エスムラルダ 自分の経験を掘り起こして書くのもいいんだけど、父の話も書きたいんです。

 父方の祖父は戦争中、海外で農場をやっていたんです。でも終戦で全部取られたうえ、農場で働いてた人たちがみんな手のひらを返したように冷たくなり、一家で命からがら日本に戻ってきたと聞いています。

 大学を卒業した父は、原油精製の会社に入って、コンビナートの工場とか社宅を作る仕事もやってきた。でも、時代の流れで会社がなくなり、社宅もみんな売却されて、今は一般の住宅に変わってしまった。

 そんなふうに、戦後の日本を支えてきた一人の会社員の生涯みたいなのを、きちんと書いておきたいという気持ちがあるんですよね。しかも私は子どもを残さず、墓じまいまでさせてしまった。せめて小説という形で何か残したいなって。

――波乱万丈の人生だったんですね。お父様はおいくつになられましたか?

エスムラルダ 来年90歳になります。両親ともに、今のところ子どもより健康なくらいでありがたいです。

 ほかにも、やりたいことはいろいろあります。「八方不美人」で歌番組や紅白歌合戦に出たいとか、今作ってるミュージカルをいつか海外輸出したいとか! いずれは農業もやってみたい。

 

 私が脚本の賞をいただいたのが40歳のときで、CDデビューしたのが46歳のとき。何歳になっても、思いがけないことって起こるし、私の場合、大事なものは、人との出会いによって運ばれてきたと感じています。なので、年齢のことは考えず、これからも縁があったことにはどんどん取り組むし、できなかったことは、縁がなかったと思ってあきらめます(笑)。