過ぎ去った時代に焦がれるあまり、その不便さすら愛してしまった者たちがいる。維持の手間など百も承知、旧車の魅力に憑かれたオーナーの素顔に迫る!
今回は「ハチマルミーティング 2024 at FSW」の出展者から、初代ソアラに乗る「かえでまん」さんをご紹介。
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父と娘をつなぐもの
昔からお父さんが30Zや130Z、ジャパンなんかに乗っていたこともあって、もともと車は大好きだったんです。中学生くらいの頃に映画『ワイルド・スピード』を見てからは、古いアメ車や最近の国産スポーツカーにも興味が湧きはじめて。
免許を取って最初に買ったのは、ZNの86でしたね。最初は運転が不安だったので、自分は慣れるまで助手席で、ハンドルは父に任せていたんですけど……。そのせいか、今でも父は「ちょっと乗ってくるわ」くらいの感じで、私の86やソアラに乗っていっちゃうんですよね。
このソアラを買ったのは、たまたま見かけたニュースがきっかけでした。旧車に箱乗りしていたグループが捕まったっていう報道だったんですけど、映っていたソアラのボディラインに一目惚れしてしまい、これはもう絶対買おうと。
ただ、86のほかにバイクも1台維持しているので、ソアラを買い増してからはもう、稼いだお金をそのまま乗り物に注ぎ込んでいる感じですね。
でも、車やバイクのために働くこと自体は、かなり前から覚悟していたことなんですよ。仕事を選ぶときも、「車やバイクを維持できるか」が基準になっていて。
もともとは美容師になりたくて専門学校に進んだんですけど、一般的な美容師の初任給だと乗れる車がかなり制限されることに気がついて……。それで、比較的給料のよかった工場系の仕事に就いて、今はちょうど施工管理系の仕事に転職するところですね。
いざソアラが納車されると、父は「まさかこんな車に乗るとは」と言いつつ、やっぱり嬉しそうな様子でしたね。ただ母の方は、以前から「趣味を持つのはいいこと」とは言っているんですけど、このソアラには酔うから乗りたくないって。
やっぱり新しい車が色々あるなかで、わざわざ古いのに乗る感覚は理解されにくいみたいで……。旧車に興味のない友達からは、「わけわかんない」「壊れないの?」「酔い止めくれよ」とか、結構散々な言われようなんですよ。
それでも趣味があることで、色んな人とのつながりもできますし、休みの日はイベントに行ったりドライブに行ったり、充実した過ごし方ができていると思います。もちろん、オイル下がりとかのマイナートラブルは頻繁にあるので、日々調子を見ながら、周りの人の知識も借りつつ維持していきたいですね。