高野修さんが電車にはねられ死亡した東武東上線の踏切を現場検証する警視庁の捜査員=2023年12月27日、東京都板橋区

 死亡した塗装工事会社元社員高野修さん=当時(56)=は北海道出身で、会社の寮で独りで暮らしていた。若い頃に上京して以来、工事や警備の仕事を転々とした。付き合いの深い友人はいなかったとみられ、出身地に暮らす親族らとも長らく疎遠で、身寄りがない状態だったという。

 捜査関係者によると、高野さんは2015年2月ごろから同社社長佐々木学容疑者(39)=殺人容疑などで逮捕=らと仕事をするようになった。当初、関係は良好だったが、仕事のミスなどをきっかけに陰湿ないじめが始まったとみられる。

殺人などの容疑で逮捕された佐々木学容疑者=7月23日、東京都小平市

 20年ごろに佐々木容疑者らの元を離れ、その後、警備会社で働き始めるまでの約半年間は生活保護で暮らしていた。

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 だが、22年ごろに再び同容疑者らと関わるようになった。事件当時は塗装会社が借り上げた東京都板橋区のアパート一室で、独りで生活していた。

 ある捜査関係者は「作業員宿舎のようなところにいて、ずっといじめられていた。聞けば聞くほどかわいそうだ」と漏らす。別の捜査関係者も「精神的にも肉体的にも、口に出せないほどひどいいじめを受けていた。仕事でも私生活でも追い詰められていたのではないか」と話した。