A子さんが嫌がって「降りる」と言うと、垣内はドアの取っ手を握って出れないように邪魔をした。A子さんは何とか丸め込んで降ろしてもらおうと考え、「今日はダメだけど、また今度ね」と軽くキスまでしたのに効かなかった。「やめてよ、正ちゃん」と元カレの名前を出してみてもムダだった。
「ここで何してる?」「ヒィーッ!」
意を決したA子さんは、タクシーが交差点で停まったとき、自分が座っている運転席側の後部座席のドアから脱出し、進行方向とは逆の方向に走り出した。
「おいっ、待てっ!」
すぐに垣内が追いかけてきて捕まってしまった。A子さんはしゃがみこんで抵抗したが、垣内は物凄い力で立ち上がらせて、後ろから押すようにして自宅マンションまで連れていかれた。
途中で「気持ち悪い、吐きそう」と演技したが、通じなかった。垣内の部屋の前まで来たとき、A子さんは一瞬の隙を突いてエレベーターの中に逃げ込んだ。そのまま最上階の7階のフロアーまで昇った。
何とかして逃げなければならないが、階段で下りる途中に鉢合わせしたらイヤだし、エレベーターで下りたら1Fで待ち伏せされているかもしれない。
しばらくその場でジッとしていると、エレベーターで昇ってきた垣内に声を掛けられた。
「ここで何してる?」
「ヒィーッ!」
A子さんはとっさに「…いや、ここ、私の部屋だから」と言ってごまかし、たまたま目に付いた部屋のドアノブにカギを差し込んでみたが、開くわけがない。垣内はその様子を呆れた顔で見ていた。
「それぐらい猿芝居を続けたら気が済んだか?」
A子さんはカギを取り上げられ、エレベーターに乗せられたあと、垣内の自宅にまで引っ張り込まれた。いきなり床の上に押し倒され、サンダルを脱ぐヒマもなかった。垣内はキスをしながら、A子さんの服の中に手を入れてきて、乳房を揉んだ。
