先日、新宿を歩いていると後ろから「バーニラ♪、バニラ♪、バーニラ♪」と耳馴染みのある曲が流れてきた。性風俗店などを専門とした求人情報サイト「バニラ」の宣伝車、いわゆるバニラカーと呼ばれる車が走行中に流している音楽だ。しかし走ってきた車の車種を見て驚いた。これまでよく見ていた大型トラックではなく、ラッピングされたバスだったからだ。

新宿を走る「バニラ」のバス 筆者撮影

 バニラカーの“車種変更”に驚いたのは筆者だけでなく、SNSでも目撃した人から驚きの声が上がっている。また6月に東京都の広告宣伝車の規制が改正されたことを知る人からは「トラックからバスになったのは規制逃れのトリックか何か」「規制って車種の問題なんですかね」といぶかしむ声も上がっていた。

 またバニラバスだけでなく、新宿や渋谷ではホストクラブやキャバクラの宣伝をしたトラックが今も走っている。これらは規制対象ではないのだろうか?

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改正で都外ナンバーも規制の対象に

 まずは2024年6月の宣伝車規制の改正内容について振り返ってみたい。

 東京都では2011年、屋外広告物条例の施行規則を改正し、都内で走行するには「東京屋外広告協会」のデザイン審査を義務づけた。禁止されている広告は「運転手の注意を妨げる光や映像を使った広告」や「景観や安全に悪影響を及ぼす広告物」などだ。

 ただ規制の対象は都内ナンバーのみで、都外ナンバー車は除外されていた。そのため、「横浜」「野田」「尾張小牧」など都外ナンバーの車がLED広告を使い、都内を走り回るケースが問題視されていた。このため都は条例の規則を改正し、今年6月30日からは都外ナンバーの車であっても、都内を走る車には都内ナンバーと同様のルールに従うよう義務付けたのが6月の改正だ。

渋谷を走る広告宣伝トラック 筆者撮影

 ではネットに上がっていたようにトラックをバスに車種変更すれば、この規制から逃れることはできるのだろうか?

 東京都都市整備局の屋外広告物の担当者に質問状を送ったところ「トラックのような形状ではなくても、都条例に定める宣伝車の定義に該当する場合は、都条例の規制の対象となります」と車種は関係ないとの回答があった。

 それならばバニラバスや、現在も歌舞伎町を走る広告宣伝車は正式な許可が出されたものなのか?