都心を走る宣伝車の写真を確認してもらったところ、担当者は「写真では『広告宣伝車許可票』が添付されているように見えますので、屋外広告物許可を受けているものと思われます」と回答。その上で屋外広告の最終的な許可は各区が出しているという。
そこで歌舞伎町を抱える新宿区で屋外広告を管轄するみどり土木部土木管理課の担当者にも話を聞いた。
高収入バイトやキャバクラの広告は規制対象?
6月の規制改正後の変化については「現在、LEDの車はほとんど走っていない。走っているのは内照式で幕を照らしているものなので、昔ほどギラギラしている宣伝車はないと認識している」という。
都の条例では「景観、風致を害するおそれのある広告物」とあるが、高収入バイトやホスト、キャバクラに関する広告等はこれに該当しないのだろうか。
「条例が改正されて、東京屋外広告協会でデザインの審査を受けている。そこで審査済みとなったものは、例えばそれが風俗営業であったり、高収入バイトを謳っていたとしても、区の立場として『それはよろしくないから許可は下ろせません』とはちょっと言えないような条例の改正内容になっている。例えば過度な露出、裸であれば別の条例などの適応は受けるが、一方で表現の自由もあり風俗営業のものであるからと断ることは難しい」(新宿区の担当者)
もう一つ気になるのは広告宣伝車から流れるBGMだ。こうした車が問題視された理由の一つには大音量で流れるBGMが騒音と捉えられたことがあった。筆者が目撃したバニラバスやホストの宣伝トラックでも音自体は以前と変わらず流れていたが、若干音量が下がっていたように感じられた。こうした音についても規制されているのだろうか。
「音量は屋外広告物条例ではなく、都の環境条例が規制する。ただ音量に関しては今回の改正に伴って新たに規制はされていない。おそらく広告宣伝車の業者が条例改正の動きで注目される中、自主的に音量を下げたのではないか」(前出の担当者)
新宿区で広告宣伝車の数について、6月の規制前、規制直後で調査したところ、車両自体の数が大きく減っていたという。また、条例改正前には「広告宣伝車を規制してほしい」という問い合わせが区にもあったが、改正後はそうした問い合わせは受けていないという。
現在のところ規制の一定の成果は出ているようだ。