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「バトル」ではない…巧妙な“沼”への誘い

 また、アプリの内容も見事である。本作は起動すると最初にカードパックを剥かせ、どんなカードが入っているのかとドキドキさせてくれる。しかも、毎日無料で2パック開封できる仕組みだ(開封できるようになると通知が来る設定まである)。

『ポケポケ』はカードパックを開ける際の演出もよい。プレイヤーは実際にスワイプして開けているような疑似体験を得られる。画像はゲーム画面のキャプチャー

 TCGというと集めたカードで対戦する部分を思い浮かべる人も多いかもしれないが、最初の一歩は「集める楽しみ」だ。TCGのカード集めはアナログなギャンブルに近いおもしろさがある。レアなカードが当たれば嬉しいし、ポケモンに愛着を持っている人ならば好きなカードは集めたいものだろう。

 基本プレイ無料のゲームにおけるガチャがこれだけ人気になっていることを考えれば、デジタルの遊びだとしてもレアカードが当たるのは嬉しいものだ。何より『ポケポケ』ではデジタルならではの表現もカードデザインに取り込んでいる。

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 ガチャに類する遊びはソーシャルな遊びでもある。ガチャで何を引いたかがSNS上の話題になるように、TCGも開封報告が盛り上がる。

ゲットチャレンジでは他プレイヤーやフレンドの開けたパックから1枚をゲットできる。当たりのお裾分けができるわけだ。画像はゲーム画面のキャプチャー

『ポケポケ』では「ゲットチャレンジ」というシステムがあり、これは開封結果を公開しつつ他プレイヤーと共有するものだ。任意の開封結果を共有できるわけではないのだが、“当たり”を引いたユーザーは他者から褒められる仕組みになっている。

 最初は無課金で遊ぼうと思っていても、コレクションの楽しさに目覚めて課金することになる流れはよく理解できる。毎日無料で2パックという設定もよい。これだけでは物足りないのでもう1パック増える月額課金をしたくなるし、ソーシャルな遊びを加速させるため、あるいは対戦に必要なカードを求めてもっとカードを引くようになっていくだろう。

 なお、『ポケポケ』は課金の上限を定めており、1日で最大120パックまでしか引けない。節度を持って遊ばせる姿勢もきちんと見せているわけだ。

 スマホでTCGアプリを出す場合、やはりカジュアルなプレイヤー層が多くなるだろう。ゆえにコレクションを前面に押し出した『ポケポケ』は見事である。

 記事執筆時点の『ポケポケ』は拡張パックが3種類しかないが、2024年内に新しい拡張パックが追加される予定である。また、一部のカードをトレードできる機能も追加されるそうだ。バトルに関しても今後要素が充実していくだろう。

 まずはコレクションからはじめ、カジュアルな層をTCGの沼へと沈める導線がよくできている。『ポケポケ』は見事であると同時に恐ろしさも感じるゲームアプリといえよう。