同名のテレビゲームを原作とし、ドラマ化した作品『THE LAST OF US』が大ヒットを記録している。
『THE LAST OF US』は、アメリカのゲーム開発会社ノーティードッグが2013年に制作したサバイバル・アクションゲーム。全世界で1700万本の売上を記録しており、200以上のアワードを獲得した大ヒット作品だ。
その実写ドラマ版が、2023年1月よりアメリカのケーブルテレビ放送局HBOにて放送され、大きな人気を獲得している。配信初日の視聴者数は470万人を記録、これはHBOの過去10年間で2番目に多い数値だ。その後も人気は高まり続け、2023年1月末には第1話を2200万人が視聴している。
日本ではU-NEXTで独占配信中の本作は、現時点では米国ほどの盛り上がりを見せていないかもしれないが、それでも“今すぐ観るべき作品”になっている。その魅力を紐解いていこう。
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並大抵なことではない「ゲームの映像化」
『THE LAST OF US』(以下、『ラスアス』と表記)の世界では、人間に寄生する菌類が現れており、しかも寄生された人間はほかの人間を襲うようになる。ゆえに世界は滅びかけており、いわゆるゾンビものに近いシチュエーションだと考えてもらってよい。
主人公は中年男性の「ジョエル」。彼はとある仕事を引き受けざるを得なくなり、少女「エリー」を連れて荒廃した世界を旅することになる。当然ながら道中には危険があふれており、ある時は感染者に襲われ、ある時は物資を奪い合う人間との殺し合いもせざるを得なくなる。
ストーリーは基本的にゲームに準じており、かつ原作を再現する要素も多い。たとえば光にあたって舞っているホコリが映るシーンや、ジョエルがスナイパーライフルで遠距離から狙撃する場面などは、原作を遊んだ人からすれば懐かしく思えるだろう。一方、ドラマならではのオリジナル要素も入っているのがポイントだ。
ゲームを原作とした映像化作品はいろいろと存在するが、実はゲームを映像化するのは容易なことではない。
「バイオハザード」シリーズはミラ・ジョヴォヴィッチを主演とした映画版は大ヒットしたものの、実はゲームファンからはそこまで好かれていないし、その後の映像作品は失敗が続いている。同じくノーティードッグのゲームを映画化した『アンチャーテッド』もそこそこの評判に留まっていたりもする。
なぜなのだろうか。