このエピソードは、男性同士の親愛が描かれているから素晴らしいわけではない。むしろ、描いているのは多くの人に通じる普遍的な愛である。人が他人を愛すことによって何かを得て、変わっていく。その素晴らしさが詰め込まれており、だからこそ、ふたりに降りかかる事件や喜びがロマンチックで、泣けてくるのである。
第3話を観た私は、ひたすらに涙をこぼすほかなかった。観た人の感情を爆発させるような「感情の爆弾」と呼ぶべき作品に仕上がっていたのだ。
「まとまってから観よう」と考えている人がいるかもしれないが…
ドラマ版『ラスアス』は毎週月曜日に配信されており、あとからゲーム版の声優による吹き替えバージョンも配信される。ゆえに「まとまってから観よう」と考えている人がいるかもしれないが、正直いますぐ観たほうがよいと私は考えている。
記事執筆時点では第5話まで配信されているが、各エピソードの衝撃がすごすぎて連続で観られる気がしないのだ。第3話を観たあと1週間はそのことばかり考えていたし、先ほど第5話を観てまた泣き、それを引きずりながらこの記事を書いている。連続して観るには負担が大きすぎるのだ。
このドラマはシーズン2への更新も決定しているのだが、その内容も問題だ。シーズン2では原作ゲームの続編である『The Last of Us Part II』のストーリーが描かれる可能性があり、もしも、それが実現するとなると本当に衝撃的すぎる展開になっている。
私が寄稿した『人間模様を描きすぎ「怪作になったゲーム」の正体)』(東洋経済オンライン)を読めばゲームの概要がわかるが、『The Last of Us Part II』は崩壊した世界における人間模様を精巧に描きすぎた結果として、傑作を越えた怪作になっている。詳細はネタバレになるので避けるが、遊んだ人が100%動揺するような内容になっているのだ。
ゲームはあまりにもプレイヤーに衝撃を与えたため、結果として賛否両論になったし、出演者への殺人予告まで起こった。これがドラマ版の優れた手法で映像化された日には、より多くの人が涙し、場合によっては怒り狂うだろう。
第5話までしか配信されていない現在(執筆時)ですら「感情の爆弾」といえるほどの内容なのに、今後はさらに怒涛の展開が待っている。毎週1話ずつ観るくらいのペースでないと、受け止められないほど巨大な感情が渦巻く作品になっていくのではないか。ゆえに、早く観るべきなのだ。
ドラマ『ラスアス』は非常に優れた作品であり、各社が評するように2023年において最も注目されるべき作品なのも間違いない。ただし、その後しばらく呆然としてもよいときに観るべき作品でもある。
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