発売されるやいなや、ゲーム内のキャラクターである猫のとる行動が「リアルすぎる」と話題になった新作ゲーム『Stray』。
本作における猫の描かれ方を専門家は一体どのように捉えているのか。ここでは、京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻心理学専修博士課程を修了し、現在、猫についてのさまざまな研究を行う動物心理学者の高木佐保さんの見解を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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猫が狭い場所を好む理由
――よく見る行動ですが、なぜ猫はこういうことをしてしまうんでしょう。袋に入ったり箱に入ったり。
猫専用の状態異常くらった。#PS5Share, #Stray pic.twitter.com/BkWuumNLpb
— ロッズ (@rods_skyfish) July 19, 2022
高木 猫が狭い場所を好む理由はまだわかっていないんですよ。そういう習性を持った生物であることは間違いないですけどね。
――まだ解明されていないのですね。非常に馴染み深い光景なので、ちょっと意外です。
高木 心理学の実験では「行動の理由」まで解明するのは難しいんですよ。ただいくつか仮説は立てられます。
たとえば暗い場所や狭い場所は攻撃するときに有利なので好まれるのではないか……と。猫は待ち伏せ型の捕食者なので、視界の悪い場所で獲物が来るのを待つことが多いんです。もちろんそうした場所は敵に攻撃されにくい場所でもあるので、守りの面でも優れています。あくまで一つの仮説ですけれども。
服を着たらこうなる
――ゲームでは猫が腰を低くして歩く場面も描かれていました。
バックパックつけた直後のこの動きあるあるすぎて困る
— インリバー・コガ (@inriver86) July 19, 2022
猫に服を着させると塩梅悪くて必ずこうなる#PS5Share, #Stray pic.twitter.com/QODP1a3dsT
高木 あー、これもやりますよねえ、猫。服を着させたときには大体こう腰を低くして歩き回る。
――これはなぜなのでしょうか。
高木 まず、この子は最初にひっくり返っていますが、これは服を取ろうとしているんだと思います。体に異物がへばり付いている状態なので外したいなと。普通に何かが背中に乗っているだけなら体を振るって落とせるのですが、服は外せないからひっくり返ってみる。
それでも外れないので、猫にとってはどうしたらいいかわからない状態。なので、怯えているというか、警戒していて、腰を落として歩くのはそのためだと考えられます。