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猫がたてる“ゴロゴロ音”の本当の意味

――ゲームのプレイヤーからは「猫が寝たときにコントローラから寝息とゴロゴロ音とわずかな振動が伝わってくる」リアルさがすごいといった反応もありました。

ツイッターより

高木 面白いですね! リラックスしているときなどに喉をゴロゴロいわせる行動がゲームに反映されているということですね。

――いい演出ですよね。ゴロゴロと音を立てるのは、リラックスすると出ちゃうものなんでしょうか? それとも飼い主に対して自分の満足を示すために出しているものですか?

高木 その判別もめちゃくちゃ難しいです。

――「行動の理由」の解明は難しいのでしたね。

高木 そうなんです。だから、その問いの答えはわかっていないです。ただ、リラックスしている時だけでなく、エサを催促する時、めちゃくちゃお腹が空いている時などもゴロゴロいうんですよ。あと獣医さんにいく時とか、猫にとってすごく怖い状況でも実はゴロゴロいってます。

――それは意外でした。そのゴロゴロは全部同じゴロゴロなのでしょうか?

高木 それぞれの状況で音響が違うという研究結果はありますけど、私からするとあまり違いは分かりません。なのでどう捉えたらいいのかは非常に悩ましいところ。仮説として、純粋にリラックスしている音というより「リラックスしようとしている時に出す音」と捉えられるのではないかと私は思っています。

――自分に言い聞かせようとしているという解釈ですか。そうだとすると、私たちは猫がゴロゴロいっているからといって満足してるなと安心はできないわけですね。まだ猫が本当の満足には至っていない可能性を考慮してあげないといけない。

高木 そうですね。猫の心理について考えるきっかけにしてみていただけるといいかもしれません。動物心理学の分野では犬などに比べて猫の研究はまだまだ進んでいないので、研究の余地が大いにありますよ。

――今回は『Stray』の猫をご覧いただきましたが、こういったCGが動物心理学の研究に役立つ可能性などはあるのでしょうか。

高木 今後もっとリアルなCGができれば、研究で使える可能性は十分あると思います。特に2個体以上の猫の関係性を調べる実験は個体同士の関係性を考慮した上で実施するんですけど、それだと普遍的なデータではなくあくまで個別事例というか、その2個体の間だけの特殊な例ではないかとの疑念がどうしても残ってしまうんですね。

画像はPlayStation公式サイトより

 もしも、よりリアルなCGができれば、1個体の特性はCGで固定し、もう1個体の生身の猫がどう行動をするかがより客観的に観察できるようになるわけです。それは研究者として非常にありがたいことですし、期待したいところですね。

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