JリーグでMVP(最優秀選手賞)を受賞し、日本代表としても活躍した元サッカー選手の中村憲剛。学生時代に“無名の選手”だった彼は、J2から日本代表まで這い上がった「苦労人」として知られている。

 そんな中村憲剛が「才能」について紐解いた書籍『才能発見 「考える力」は勝利への近道』(文藝春秋)を上梓した。ここでは、同書より一部を抜粋。「挫折」を経験して大きく飛躍した選手について紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

2019年の日本代表イレブン ©文藝春秋

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中村俊輔も本田圭佑も挫折を経験

 サッカー選手として大成した選手は、ほぼ漏れなく挫折を味わっています。

 元日本代表の中村俊輔さんは、横浜F・マリノスのジュニアユースからユースへ上がることができませんでした。神奈川県の強豪・桐光学園高校で部活に打ち込むのも、高校生としてはエリートコースだったかもしれません。ただ、俊輔さん本人は悔しい思いをしたのでしょう。「自分のサッカー人生の転機のひとつだった」と、本人からも聞きました。

 同じく元日本代表の本田圭佑も、ガンバ大阪のジュニアユースからユースへの昇格を見送られ、石川県の星稜高校で高校サッカーの世界へ飛び込みます。全国大会に出場して、名古屋グランパスでプロキャリアをスタートさせました。

 森保一監督のもとで日本代表に招集されている鎌田大地、2021年の東京五輪に出場した林大地も、ガンバ大阪のジュニアユースからユースへの昇格を見送られ、高校サッカー経由でプロ入りしています。

本田圭佑 ©文藝春秋

守田英正は、ガンバ大阪のジュニアユースに入ることができなかった

 川崎フロンターレのチームメイトだった小林悠は、中学時代に川崎フロンターレと湘南ベルマーレのU-18チームのセレクションを受けたものの、加入には至りませんでした。同じく川崎フロンターレのチームメイトだった守田英正は、ガンバ大阪のジュニアユースに入ることができず、地元の中学校から高校、大学を経てプロ入りしています。

 Jリーグのクラブのジュニアユースやユースに入ることができず、その悔しさを成長の糧にしていった選手は、ここに名前を挙げた選手だけではありません。

 本当にたくさんの選手が、小中学生の年代に挫折を経験しています。