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「日本企業の韓国内財産を売却して賠償すべきだ」

 李代表は大統領候補の時代から、「日本企業の韓国内財産を売却して元徴用工に賠償すべきだ」と積極的に主張してきた。2018年、三菱重工業を対象にした韓国最高裁判所の損害賠償訴訟で勝訴した元徴用工および遺族たちは、「賠償金を受け取ることができるよう、三菱重工業の韓国内資産を差し押さえて売却してほしい」と韓国裁判所に要請。2021年9月、韓国裁判所は三菱の商標権と特許権を売却せよという判決を下した。

 これに対して三菱側が控訴をすると、李代表は「時間稼ぎをしている」と批判。「日本政府は強制徴用賠償判決を速やかに履行しなければならず、韓国政府はさらに積極的に解決に乗り出してほしい」「遅れた正義は正義ではない」と主張した。

李在明代表 ©getty

第三者弁済案による解決を「国の恥」などと批判

 いっぽう尹政権は2023年3月、日韓国交正常化の恩恵を受けた企業からの寄付金をもとに、韓国政府傘下の財団が日本企業の代わりに元徴用工の賠償金を支払うという「第三者弁済案」を提示し、日韓の最大懸案である元徴用工訴訟問題の解決を試みた。これによって、POSCO*などの韓国企業が41億ウォンを集めて基金を作り、最高裁で勝訴が確定した15名の原告のうち、3名は拒否、12名が基金を受け取った。
*韓国最大の鉄鋼メーカー

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 このような韓国政府の解決案について李代表は「反民族的、反歴史的」「外交史最大の恥辱」「国の恥」などと猛攻した。

 李代表が政権を握れば、この「第三者弁済案」は白紙となり、まだ解決されていない賠償金に対しては、文政権時代に戻ることとなるだろう。前述した、第三者弁済案を拒否した3名の他にも、新たに1審で勝訴した原告らが出てきているからだ。係争中の元徴用工訴訟は少なくとも60件あるとされている。

 財団の基金は3億ウォンしか残っていないとされる。現状で少なくとも120億ウォンが不足したまま、尹政権の「第三者弁済案」は破産に終わる可能性がある。“李在明大統領”が誕生した際には「日本企業の韓国財産を売却して元徴用工遺族へ賠償金を支払う」というシナリオへ進むかもしれない。 

尹錫悦大統領(左)と岸田文雄首相(当時) ©EPA=時事通信

「日本は軍事的敵性国家」という持論を持つ

 日韓GSOMIAの破棄も予想される。2023年3月、日本で開かれた日本の岸田首相(当時)と尹大統領の首脳会談では、両国の首脳が日韓GSOMIAの「正常化」を宣言した。すると李代表は「日本の自衛隊が韓半島(朝鮮半島)に駐留する可能性がある。戦って防がなければならない」と、野党支持者を扇動した。彼はかねてより「日本は軍事的敵性国家」という持論を持っている人物で、日韓GSOMIAに対して強い反対をしてきた。