35歳で早稲田大学に入学
村山 おかげさまで完済することができました。大好きだった亡き父のお墓も建てることができた。私は水商売を始めたときの目標が、まず借金を返すこと。次に、お墓を建てて、母のために家を建てること。そして、弟と妹達……母と別れた彼のことは嫌いでも妹達は別ですから、彼らが大学や専門学校に進学して就職できるまでは、この世界で頑張ろうと決めた。それができたら、勉強するために大学に行こうと思っていました。
――実際に、村山さんは35歳のときに早稲田大学に入学されますが、すでにセカンドキャリアを思い描いていたんですね。
村山 でも……簡単には切り替えられなかったです。私はハングリーで貧乏でしたので、たくさんお金を稼げるようになってお金を持つと、その反動で華やかな生活をしていました。そうすると、やっぱりお金に溺れていきました。お金を追うような生活になり、それが当たり前になると、「勉強をしよう」という気持ちがどんどん頭の片隅に追いやられていく。華やかな生活を捨ててまで、次のステージを目指す勇気はなくなっていた。だからなのか、バチが当たるのです(苦笑)。当時付き合ってた男性に騙されて、家を含めて全部取られてしまって……。
――財産的なものはすべてですか!?
村山 すべて。ただ、意外にスッキリしたのです。水商売で稼いだ財産ですから、“なくなった”のではなく、“プラスマイナスゼロに戻った”と思えたというか。それに、そうした経験があったことで、自分は何のためにこの世界で働くようになったのか、初心を思い出させてくれましたから。